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モブと誕生会1
しおりを挟む春が過ぎ……初夏が来る。
白を基調とした淡いグリーンのルクレツィアのドレスは仕上がり、俺の紺碧に銀糸のスーツも新調。
……俺のはほんとは要らないんだけどね?でも着たきり雀じゃあ大公家が舐められるんだよね?クッソ、ジレンマ…!もったいないおばけが出るぞー!!
当日は、カムイはお留守番!というと、じゃあ、おじちゃんとこ行ってくるね!……と。
おじちゃん?と思ったら、赤竜の事だった。
カムイは飛べるようになって行動範囲がすっごい広くなった。首輪付きだけど。
俺はまだ『歩けない』ってことになってるので、ルクレツィアが車椅子を押してくれる。
挨拶はテオに任せて、適当にご飯食べて先に帰ろうね?と言うと、ルクレツィアは嬉しそうに笑った。うん、今日もうちの娘が世界一可愛い。
テオは軍服だった。黒い軍服。うっわキュンキュンする!
俺の色のスーツを却下されたとブスくれていたテオだが、俺が軍服をベタ褒めすると気を良くした。男のロマンだよね軍服!
俺も軍服着てみたい!と言うと、お前が軍服着てウロウロしていたら、途端に閉じ込められて大変な未来が想像できるからやめろ、と。……うん、わからん。
そんで当日。
案の定、見せ物ですわ。
ヒソヒソ、フフフ……。ああ、うぜえ。
こういう集まりって、オズワルド時代でもすっごい苦手だった。手近な男を捕まえて、空き部屋でよろしくやって時間潰すくらい。
男の嫁ってだけですげえ蔑まれてるのがわかる。もうほんと……テオごめん。
テオにどんどん挨拶しにきてる貴族たち。俺はテオの横でジャパニーズアルカイックスマイル。頭の中ではめんどくせえめんどくせえめんどくせえ…に尽きる。
ルクレツィアがダンスに誘われた時もあったけど。ファーストダンスをテオと踊ってからそれ以降はお断り。うん、家帰ってこっそり俺と踊ろうね?
テオが陛下に呼ばれて。
さあ俺たち先にじゃあ帰ろうか?ってなった時に騒ぎは起こった。
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