【異世界大量転生2】囲われモブは静かに引きこもりたい

とうや

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モブと招かれざる客1

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早く春にならないかな…。

呑気にそんなことを考えていたら災厄がやってきた。




テオが北の民族さんの住む国境近くに視察に行っている隙を狙って、先触れなしに聖女候補と王太子と第二王子とその取り巻きが押し掛けた。

えー、すっごい嫌なんだけど…。めんどくさい。めんどくさいけど、絶対会うまで帰らないパターン?

アレだ。王弟の屋敷ってお城に近いんだよね。イコールで結ぶと、王家が運営する学園にも近い。

原作では確か、ルクレツィアが王子やその他を屋敷に招待する話があったっけ…。主人公、あのまんまに行動してるのかな?

しかし……王弟テオがいない間に騙し討ちみたいな事するなんて………。テオを舐めてるのか、俺が優しく許してあげると思ったのか。

まあ、前世の頃からぼんやりしてと言われてたからそれか…。



「仕方ないね?ルクレツィアを可愛くしてくれる?」


「もちろんでございますオズワルド様!」



メイドさんの鼻息が荒い。…ちょっと和んだ。

ささっと支度をしたルクレツィアは、琥珀色のワンピースに小さなエメラルドのネックレス。ワンピースはいつも通りなのだが、こんな時くらいピンクのドレスとか着てもいいのにね?可愛いから問題ないけど。



応接室に待たせた招かれざる客たちは、ルクレツィアが車椅子を押して部屋に入ると一斉にギラギラした目を向けた。

見るな見るな。ルクレツィアが減る。減らないけど。



「オズワルド様!」



主人公が満面の笑みで立ち上がる。

ウワア俺、まだこの子に名前も名乗ってないのに?ヴァッサロ夫人、じゃなくて?ファーストネーム呼び?

ないわー。



「ようこそおいで下さりました、アルカンジェロ王太子殿下、ヴィットーリオ第二王子殿下、ならびに側近候補の皆様」



営業スマイルで迎える。前世も死んだ時は大学生だったから営業した事ないけど。



「急なご訪問で大したおもてなしはできませんが、御容赦ください」



チクリと刺すのも忘れない。










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