68 / 87
【碧海独白】
しおりを挟むええと、《世界記録》は ーーー 見たんだったね。……僕の『父親』はね…ああ、父さんじゃないよ、地球の『父親』。あの人は自分の妻を愛してたんだ。
愛し ーーー すぎてた。
中学校に上がる前かな……ああ、そうだね…10歳かそのくらいだよ。僕の『母親』が死んでね?心の病気だったんだと思う。子供だったからよくわからなかったんだけど、多分自殺だった。そこからだよ。僕に無関心だった『父親』がおかしくなっていったのは。ああ…まあ、それは僕に対しておかしくなっていったんであって、『母親』にとってはずっとおかしかったのかな…。
僕はあの男に『妻』の役割をさせられたんだ。
外に極力出るな。誰にも話しかけるな。家にいて、料理をして、洗濯をして、掃除をして。いつも笑っていろ。望まれたら股を開け…ってね?
最初に犯された時は怖かったなあ。あんなに大きなモノが入るわけないって泣き喚いたよ。まあ実際無理で、裂けて酷いことになっちゃったんだけどね?
でもそれでも慣れるもんだよ。機嫌の悪い時は酷くされるから必死で機嫌を取った。……あの男は僕の歌が好きでね?歌えばあの男は大人しくなった。
歌って、歌って……僕は疲れてしまった。
だからあの日、僕は久しぶりに反抗した。
どうなるかなんてわかってた。わかってて、あの男が僕を殺すようにセッティングした。
手に取りやすい位置に刃物を置いて。数日前からイライラするように仕向けて。本気で抵抗する僕を強姦しようとしたあの男の股間を力一杯蹴り上げた。
………あとは《世界記録》にある通りだよ。滅多刺しにされて死んだ僕はこの世界で生き返って、いまここに居る。
……と、まあこれは過去の話。でね……まあ…その…。リアムくんが言った『君を抱きながら何を考えてた』かっていうのはね……うん、その…………
ううん、言うよ。言わないと…。
僕はね、君が産むかもしれない子供が怖くなったんだ。正確には、君が産んだ子供に僕がなにかしてしまうんじゃないかって思ったら ーーー 怖くなった。
あの男みたいに、君の子供に……その…ね?
僕はリアムくんが大好きだよ。好きで好きで……でも、もしもだよ?君が居なくなったら?その時に、君にそっくりな君の子供が僕の手元に居たら?……僕は自信がない。
怖いよ。自分が一番信じられない。だって僕はあの男の子供なんだ。わからないよ。怖くて、怖くて……どうしていいかわからない。でも君を手放すことは絶対に嫌なんだ。君が望むなら、《星辰》としての役目を放棄して今すぐ世界を滅ぼしたっていい。でも…嫌だ。あんな男と同じモノになんかならない。僕は……僕は………
どうしたらいいの?リアムくん……
68
お気に入りに追加
1,546
あなたにおすすめの小説
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる