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「ヨメだけに!」
しおりを挟む俺が碧海さんの機嫌を取ってたのをティティスと妹も覗いてやがった。罰として『エビとシャコの殻剥きの刑』にした。痛~い、痒~いと喚いている女どもは剥く前に尖った部分を鋏で切ればいいといつ気付くんだろう。教えないけど。
サイラスは女性陣より比較的手先が器用で丁寧なので、エビの背腸担当だ。背腸は取らなくても良いんだが、取ったほうが断然美味い。
『スイハンキ』で『炊いた』?コメをカミダナに供える。煮ると蒸すと『炊く』は未だによくわからんが、転生者組と碧海さんに『コメを煮る』と言うと「米は炊く」と訂正が入る。元地球人のコメへのこだわり半端ねえ。
大きめの汁物椀に炊き立てのコメを半分くらい盛ってスタンバイ。ウニを割ってスプーンで中身を取り出す。綺麗なオレンジ色だ。薄い塩水で砂や汚れを落として湯気を立てるコメの上に並べていく。まずはお客さまからだ。
「おおおおおお…」
「ンンンンンンアアアアアアアうに丼ンンンンンン!!」
「ちょ……リアムぅ!わたくしたちの分もあるんでしょうねぇッ!?」
「さあな?……さて、どうぞお召し上がりください」
「わあい!嫁くん空気も読める~!ヨメだけに!なんちゃって!」
「……兄さん、周囲が凍るから冗談は言うなって父さんから言われてましたよね?」
『僕』さんの前にスプーンを添えて供する。邪神は『ショウユ』をタラーッと回しかけて、『ウニドン』を豪快に口に入れた。
「んー!おいひい!海の味がしてねっとりしててしょっぱくて甘~い!(モグモグモグモグモグ)」
ちょっとだけ唇を尖らせて見ている碧海さんにも出す。エヘッと笑う碧海さんめちゃくちゃ可愛い。
「お…お兄ちゃん……残してて…ウニ……ウニ丼残しててええええ!!」
「はっ、あっ…ああっ…わ……わたくしぃ、う…うに、うに、ううううううウニを食べないと禁断症状がぁ…!」
「……………(無心)」
やばい目をしている3人。怖い。気持ち悪い。でも働け。サイラスは無心で背腸を抜く手を早めている。黒瞳魔王からもらったアヴァロン王国産の酒が入ったデキャンタとグラスを用意して、邪神のお酌は碧海さんに任せる。子供の姿の邪神に酒を供するのはどうかとも思ったが、本神が良いって言うんだからまあ問題ないんだろう。
さて、油もいい感じに温まった。生食もいいが、海産物はフリットも美味いんだぞ?
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