【7人の魔王2】してもない婚約を破棄された聖女の兄なのだが、なんだかんだで魔王の嫁になっていた。

「蜂蜜みたいにトロリと溶ける」

朝食後には海の幸を引っ提げたティティスがやってきた。『御方様』への貢物らしい。調理するの俺だけどな？海で網を引っ張ってるの人魚たちだけどな！？

ヒイヒイ言ってる人魚たちからエビとか貝とか受け取る。ありがとうってお礼を言うと嬉しそうに頬を赤く染めた後に……青くなって海に逃げ込んだ。

背後に碧海さんが立ってた。


「僕のリアムくんに色目を使うなんて、いけない人魚こたちだよね…」

「色目なんか使われてません！そんなこと言ってたら町でパンひとつ買えませんからね！？」

「買わなくていいじゃない。リアムくんはずーっとここにいてね？」


駄目だ話が通じねえ…。

碧海さんとお付き合いを始めて10日くらいだけど、碧海さんはめちゃくちゃヤキモチ焼きだ。妹曰く『やんでれ』？俺はアホ王太子みたいに浮気とかしないぞ！？だって碧海さん以上に美人な女も男も見たことないし。碧海さん以上にす…好きな人とか……絶対出てこないだろうし…。

碧海さんと恋人同士になる前は、笑顔で不機嫌な碧海さんの宥め方とか知らなかったけど、今の俺は一味違うぞ？アトランティス流の恋人の機嫌の取り方っていうのをティティスに教えて貰ってるんだ。

周囲に誰もいないことを確認して……よ…よーし、やるぞ？せーの！


「……俺は碧海さんが一番大好きですよ？」

「……っ…」


頬にキスをひとつすれば、碧海さんの不機嫌な気配が蜂蜜みたいにトロリと溶ける。


「僕もリアムくんが一番好きだよ！リアムくんだけが好き…！」


ガバッと抱きしめられて、顔中にキスの雨が降ってくる。唇を舐められて口を薄く開いたら、深い深いキスを……


「ねー…まだぁ？子作りはご飯の後にしてよー？」

「ひぅ！！」

「……(チッ)」




邪神が空気も読まず呼びに来た。ひいいい…み、見られた…！！しかも今、碧海さん舌打ちしなかった！？