上 下
35 / 87

「きっとアオイさんに悪意はない」

しおりを挟む


「まままま…まお…魔王、さ、さ、様方ほほほ本日はおおおお日柄もよく……」


ルディと呼ばれた商船の主人は盛大に吃りながら揉み手をして現れた。目が泳ぎまくってて気持ち悪い。けどまあ仕方ないんだろう。七人の魔王たちと邪神の一柱が勢揃いしているのだ。俺に言わせりゃあ普通に接している妹やロリコン殿下がおかしい。これが妹の言う『転生者補正』というものか。


「お兄ちゃーん?私から言わせて貰えば青瞳の魔王様に「遊ぼう」って言われてるお兄ちゃんの方がおかしいからね?」


『えすぱぁ』か妹!そして俺はおかしくない普通だ!


「え…えと?アオイさん?あの……手を…」

「ん?」


笑顔がつらい!きっとアオイさんに悪意はない。こんなに綺麗な笑顔なんだ。きっと俺をまだ子供だと思ってるんだろう。もしくはぬいぐるみか何かをにする感覚だろうか。


「あの…ルディさん?に挨拶したいので……手を離して下さい」

「えっ…」


悲しそうな顔しないでアオイさん…!

しゅんとしながら手を離してくれたアオイさんは「ちゃんと帰ってきてね?」とか謎の言葉を訴えた。なんなの?意味がわからない。


「昨日の今日で来ていただいてありがとうございます。リアム・ハルフォードです。アオイさん……海の魔王様に1年間だけ保護して頂いています」

「あっ…ああ!良かったまともな人だあ!!よろしく!よろしくリアムくん!!私はルディ。ルディエアリアス・スタンスフィールド。尤もスタンスフィールドの名はもう名乗れないんだけどね。20年前のだよ」


がっちりと握手を交わす。あのクソスタンスフィールド家にまともな人も居たんだな。いや、この人を生贄にしたからまともな後継が居なくなったとか?


嬉しそうにテヘッと笑う顔が ーーー あれ?見る間に顔色が悪くなり俺から目を逸らした。ん?ンンンンンン???


「リアムくん、いつまでも挨拶してないで商品を見せてもらおうよ?ね、ルディ?」

「あ、はい」

「ひ…っひいいいいいいいいい……!で、でっ、では、ここここここちらへええええ!!」

「行こう、リアムくん」


離れていた手がまたギュッと握られる。あれえ?これが普通なの?おかしくねえ!?俺はもう成人ですってばアオイさん!





魔王たちが「よしそこだ押せ!」とか「あーちゃん意外とグイグイ行くなあ…」なんて言ってたけど……どういうこと?












しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界はなんでも美味しい!

鏑木 うりこ
BL
作者疲れてるのよシリーズ  異世界転生したリクトさんがなにやら色々な物をŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”(๑´ㅂ`๑)ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”うめー!する話。  頭は良くない。  完結しました!ありがとうございますーーーーー!

今夜のご飯も一緒に食べよう~ある日突然やってきたヒゲの熊男はまさかのスパダリでした~

松本尚生
BL
瞬は失恋して職と住み処を失い、小さなワンルームから弁当屋のバイトに通っている。 ある日瞬が帰ると、「誠~~~!」と背後からヒゲの熊男が襲いかかる。「誠って誰!?」上がりこんだ熊は大量の食材を持っていた。瞬は困り果てながら調理する。瞬が「『誠さん』って恋人?」と尋ねると、彼はふふっと笑って瞬を抱きしめ――。 恋なんてコリゴリの瞬と、正体不明のスパダリ熊男=伸幸のお部屋グルメの顛末。 伸幸の持ちこむ謎の食材と、それらをテキパキとさばいていく瞬のかけ合いもお楽しみください。

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!

冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。 「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」 前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて…… 演技チャラ男攻め×美人人間不信受け ※最終的にはハッピーエンドです ※何かしら地雷のある方にはお勧めしません ※ムーンライトノベルズにも投稿しています

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

イスティア

屑籠
BL
ゲームの世界から、ログインした途端異世界に落ちた大島和人。 平凡よりはブサイクよりな彼は、ONIの世界では中間クラスの錬金術師だと思っていて、それなりに薬を作ってそれなりに生きていければ良いや、と思っている。 とりあえず、息抜きに書いていく感じなので更新はまちまちで遅いです。月一更新が目安です。 10話毎に、ムーンライトノベルさんで更新することにしました。 こちらは、変わらず月一目安更新です。 壱話、8000〜10000字です。

狼騎士は異世界の男巫女(のおまけ)を追跡中!

Kokonuca.
BL
異世界!召喚!ケモ耳!な王道が書きたかったので ある日、はるひは自分の護衛騎士と関係をもってしまう、けれどその護衛騎士ははるひの兄かすがの秘密の恋人で…… 兄と護衛騎士を守りたいはるひは、二人の前から姿を消すことを選択した 完結しましたが、こぼれ話を更新いたします

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

処理中です...