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【ハルフォード男爵視点】「魔女が密やかに笑った」
しおりを挟む息子と娘を魔王の供物にした。王家からそう知らせが入ったのは本日の昼のことだった。
我が男爵領はメンドゥサ王国の端も端。領地ともいえないような小さな港街。儀式的なもので10年に一度だけ賑やかにはなるが、それだけの田舎街。
だから舐められたんだろう。
ふざけるな。娘と息子が魔王領に保護されたその晩には、もう魔王の使者を名乗る者が挨拶に来ていたというのに。王家の使者よりも、魔王の使者の方が余程丁寧で誠実だった。
王家の使者が寄越した見舞金 ーーー 金貨の山を突き返す。あの子たちの価値はこんなものなんかじゃなかった。金でなど買えなかった。最愛の妹の産んだ子供と、私を二人目の父親として慕ってくれた子供。どちらも賢くて可愛くて優しい……良い子だった。リアムとシャーロットが思い合っているのなら、2人を結婚させてこの男爵家を継がせる気だった。
それなのに…!!
『ねぇハルフォード男爵ぅ?わたくしぃ、貴方のことは気に入っていますのよぉ?今どき馬鹿みたいに真っ直ぐでぇ、曇りのない魂…。多分白いほうは我が主人が気に入っておりますので返せませんけどぉ、聖女なら返してあげますわぁ。でもぉ、またすぐにあの痴れ者どもに奪われてしまうわよぉ?聖女は金のなる木ですものねえ?』
魔女が密やかに ーーー 笑った。
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