【7人の魔王2】してもない婚約を破棄された聖女の兄なのだが、なんだかんだで魔王の嫁になっていた。

とうや

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「雄、23歳、性交経験無し、状態良好」

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キィ…ンと目に染みるような甲高い音がした。振り下ろそうとした刃が時間が止まったかのように停止している。


「……あおいちゃん…!」


えっ…だれ?

妹の友達だろうか。………うん、俺の首も動かない。首どころか指先ひとつピクリともしねえ。って言うかなんで声出せるんだよ妹ぉぉぉおおお!?『ちぃと』か!?これが『転生ちぃと』ってやつかこんちくしょう!


「あ、ごめんね、君まで止めちゃったね」


その言葉と共にカクンと拘束していたが消えた。元同僚や馬鹿殿下たちは……まだ止まっている。

ようやく見れたその顔は ーーー 


「……精霊、様…?」


10年前のあの日、俺を海から掬い上げてくれた翡翠の瞳の精霊様だった。


「ああ…ええと……ごめんね?精霊じゃないんだ」


声まで麗しい。脳髄に響く声ってこういうことだろう。


「僕は… ーーー 」


精霊様が何か言おうと口を開くが、それが言葉になる前に目の前にとんでもない美女が現れた。すうっと、何もない場所から煙のように。

長い水色の髪を緩く編んで胸元に垂らした女だ。その服装は薄絹を纏っただけの踊り子のようだ。教会の慈母像のように麗しい顔に、どんな高級娼婦でも降参してしまいそうな完璧なプロポーション。


「碧海様、ご歓談中失礼いたしますぅ。メンドゥサ国王とのが終わりましたわぁ。で1年ほど待ってあげることに致しまし……あらぁ?そちらが例の?」

「…ああ、うん」

「ふぅん…?」


女が不躾に俺の顔をジロジロ見る。今までどんな不敬を働いても咎められたことはない。……そんな態度だ。ウフッと蕩けるように女が笑った。クッソ、美人は得だな…!


「雄、23歳、性交経験無し、状態良好、種族・ラ………」


コラコラコラ…!なに鑑定てやがる!!??


「……うふふっ!うございます!?まぁまぁ…碧海様がなんてぇ……初めてで御座いますからねぇ!」


「お兄ちゃん…童貞だったんだ……」






妹の憐れみの視線が辛い。



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