【完結】リオ・プレンダーガストはラスボスである

とうや

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偽神編

閑話・19年前の真実 3

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「そういえば、アオイくん、イヤーカフしかつけてないみたいだったけど、潜入後の映像って見れたりするの?さっきは普通に、スマホで中継してたけど」

スムージーをおいしくいただきながら、ハヤミに疑問をぶつける。

「この前は、ニシジマがお前を襲おうとするかもしれなかったから、正面から鮮明な動画が撮れるようにヘアピンも仕込んだけど、イヤーカフにもカメラ機能あるから大丈夫だ」

「へぇえ…イヤーカフにも撮影機能が…」

と納得しかけて、

「ちょっと!そんなこと、聞いてない!」

レナは、思わず真っ赤になって立ち上がる。

そんなレナを冷めた目で見つめながら、

「おい、何か勘違いしてないか?別に俺たちは、お前の私生活に興味があるわけじゃないんだからさ、普通にオフにしてるよ」

そうザッと説明してから、

「お前が家に帰るときには、ちゃんとイヤーカフの機能はオフにしてあるから」

丁寧に説明し、「お前のほうでも電源はオフにできるから」と、イヤーカフの裏側に小さな突起があることを教えた。

そのとき、ハヤミの手が耳たぶや頬に触れてドキっとした。

…しかも…顔が…近い…

ぶわっと、顔中に全身の血が集結していくのがわかる。

嫌だ、どうしよう…

これ、絶対に顔、真っ赤だ…ヤバイ…

思いっきり目を閉じていると、

「おい、聞いてんのか?」

不機嫌そうなハヤミの声が聞こえて、ひとまず「あ、ありがとう」と誤魔化した。

やばい…

もう、心臓が爆発しちゃうよ。

レナは、ゆっくりと大きな深呼吸をして呼吸を整えた。

「お、アオイ、順調じゃん?」

ハヤミの声にモニターを見ると、ニシジマ、それから橋本、それから、面接官らしい男の3人が見える。

肝心のアオイの姿は、イヤーカフの死角になっているため映っていないが、3人は楽しそうな表情を浮かべていい雰囲気だ。

「それにしても、この映像、すごく鮮明だよね」

「当たり前だろ。うちで使ってる機械系の商品、全部、天才が作ってんだから」

「天才…?」

レナは聞き返したが、ハヤミはモニターを真剣な眼差しでみつめたまま、回答はなかった。

しばらくして、

「即採用だってー!」

と、ニシジマの会社から飛び出すように走り出てきたアオイが、スマホを片手に大はしゃぎ。

「お疲れ」

ハヤミがニヤリと笑い、

「今回の面接で、いろいろとわかったな」

そう言った。

「え、え?ええっ?何?何がわかったっていうの?」

レナが思わず立ち上がってがっつきながら尋ねると、

「うぜぇ、とにかく座れ」

本当にウザイという様子でレナを睨み、羊や牛を扱うような様子でイスに座らせた。
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