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偽神編
閑話・19年前の真実 3
しおりを挟む(王妃視点)
「むかし、むかしのものがたり。三番目の王子が恋をして……。ああ、いまだに吟遊詩人が歌う物語です。ローレンス、お前の父と母はその物語の、国を売ろうとした王子と聖女……実際は、隣国の工作員と、その色仕掛けに掛かってしまった王子です」
児童書にもなった物語は、当事者にとっては昨日のことのような悪夢。それまで、多少なりとも普通の関係を築いてきた婚約者が豹変し、自分を疎んじて攻撃し、ありもしない冤罪で罵倒する。伝説の大聖女のような、絶対的な《魅了》スキルならば良かった。けれど、マリリンが……元大聖女が持っていたのは、好意や悪意を少しだけ強くする。そんなスキル。女神の贈り物でもない、そんな些細な………。
ローレンス。お前はトラヴィスそっくりに育ったわ。美しく、気高く、傲慢で。美しいものが大好きで。選民思考で頭が悪くて下半身でしか物事を考えられられない屑。
「ローレンス。お前がまともだったら良かった。まともに育って、ヘンリーが王になっても、それを支えていけるようなまともな子に育てば良かった。………でも、お前はトラヴィスそっくりに育ってしまった。とても………ええ、とても」
「残念だわ」
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