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領地編2
襲撃の顛末
しおりを挟むこうして献上品強奪事件は未遂に終わった。終わらせた。待機命令を無視して襲撃者をぶん殴りに行った俺はそれ相応の覚悟をしたわけだが、メアリーばあちゃんが「リオちゃまは間違えて渡した献上品を交換に来ただけですよ?」と執り成してくれた。
嘘である。咄嗟についた嘘だがこの流れに乗っておこう。
「……元よりリオをどうこうする気はなかったのだよメアリー。彼は部下ではなく寄子だからね」
「………」
「なにか?」
「いいえぇ!べっつに!」
その割にゃあ無茶振りしてくるよなァ、あんた!そう叫ぼうとしたがグッと我慢した。俺、偉い。褒め要員ティグレが今はいないので自分で褒める。
今回メアリーばあちゃんを襲ったのは『昏暮の影』ではなく別口の反社会組織。誘拐や脅迫が主なお仕事の民間軍事会社のようなもんだ。四肢を折って歯も折って転がした襲撃者は心もポッキリ折れたらしい。「足抜けしたい」とペラペラうたって仲間を売った。そこから一刻も待たずにアジトを襲撃。俺が。……そう、俺が騎士団のワンコどもを引率して捕縛した。自分で言うのもなんだが、俺はメアリーばあちゃんが怪我したのが思いの外ストレスだったらしい。ここ最近で一番の大捕物だとワンコ1号が俄然張り切ってた。
さて、ほとんどが悔い改めた襲撃者の中で、全く悔い改めてないエルマーだが、見事にゲージ侯爵家から見捨てられた。蜥蜴の尻尾切りだ。……が、ラドはそんなに甘くない。調査の結果、随分前から反社会組織と繋がっていたらしく、余罪もガッツリ出てきた。王族への傷害に加え、国家転覆の計画まで露見した。本来なら一族郎党平民に落とした上で縛首……が妥当だが、ゲージ侯爵家は褫爵ののちに関わった者全て離島の監獄に島流し。エルマーは初犯だしまだ使い道があるとかで、隷属の首輪でガチガチに縛って奉仕刑だそうだ。奉仕刑とはなんぞや?と思ったが、平たく言うと奴隷落ちらしい。家柄だけが自慢の英雄症候群のガキがどこまで耐え切れるのかねぇ?
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