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領地編2
黒いガラスとばら撒いた毒餌
しおりを挟むプレンダーガストガラスの新作は『黒いガラス』だ。被せガラスを研磨で彫り込み、いわゆる『なんちゃって切子』が最近のプレンダーガストの売れ筋だったが、びっくりするくらいの漆黒のガラスも発表した。遮光ガラスというものだ。シックでかっこいいというのもあるが、光に弱い薬品を保存する瓶、鍛治師やガラス職人などの目を保護するプロテクターとして売り出した。
結果、バカ売れした。
モンサロ王国の高位貴族は総じて色素が薄い。日焼け対策バッチリのご婦人はともかく、男は太陽光で目がやられることも多かった。治癒魔法で治癒できるんだろうけど、単純に眩しくて辛い。
「リオよ、こう…格好良い色眼鏡は無いもんかのぅ?」
おねだりしてきたグローヴス公爵に遮光ガラスのメガネを作った。米国空軍レイバン風の。爺さんめちゃくちゃ似合った。ごっつい感じがまた良い。サングラスブームが到来した。みんな大好きちょい悪オヤジ。憧れるよな。
その黒いガラスの製法に嘘を混ぜた。
『クリスタルガラスと、従来のソーダガラスを混ぜ合わせる』……と。
まあできるんだ。あまり綺麗じゃない黒いガラスが。嘘じゃない。だがそのガラスは耐久性がアホほど低い。しかも冷める温度が違うので、冷える時に高確率で割れる。大量の失敗作を量産しただろう『なんちゃって黒ガラス』は目玉が飛び出るほどの値段で売り出されたそうだが、比較的安価でプレンダーガストガラスが買えるのに売れるわけねーだろ。
切子風ガラスは売れに売れた。そのうち模倣され始めたのでサンドブラストとか泡ガラスも発売。超売れた。ウッハウハだ。ケレスの再開発の金も余裕で出た。
エルマーは時々「なんで…」とか、ぶつぶつ言ってたけど知るかボケ。他人の褌で相撲を取ったって常勝できるわけねーだろ。こっちは俺のフワッとしたアイデアを錬金術師や職人たちがめちゃくちゃ研究して作り上げてんだ。
さて、次の毒餌を撒こうか。
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