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王都編

帰還!

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四公爵のオッサンと爺さんたちは非常に好意的だった。

茶会は多少のアクシデントはあったが概ね穏やかに終わった。シャーロック公爵の持ち込んだ魔力測量器がとんでもない光を放ったと思ったら粉々に爆発したり、グローヴス公爵がいきなりパンイチになってマッスルポージングを始めたり、なぜか提供されていたアルコールでプリッドモア公爵が悪酔いして「娘のどこが気に入らないんだ!」と絡んできたり、マクファーレン公爵が延々と妻と娘自慢を始めたり……。自由だな、オッサンと爺さんたち。

そして翌日。プレンダーガストへ帰還の日である!

いや~、長かった!この十日ほど。まじ長かった!!なんかめちゃくちゃ濃い滞在時間だった。ガラス産業の方も気になるが、領民の物理汚染度が恐ろしいので早く帰りたい!領地に帰ったら臭い…とか、絶対怒鳴り散らして片っ端から公衆浴場に連行する自信がある。冬だから良いとか思うな。肉とアルコールを摂取する労働者の体臭は臭いんだ。どうでもいいから風呂に入れ!!そして洗え!!!

大勲位聖剣大綬章をもらって良いこともある。関所から少し離れた場所にある転移門が使い放題らしいのだ。またあの尻が4つや8つに割れるような思いをするくらいなら、1人だけズルしてタマと一緒に転移で帰ろうと思ってたのに。大勲位聖剣大綬章さまさまである。ただ、管理者もおらず、数十年使用記録のないプレンダーガストの転移門が正常に作動するかと聞かれたら疑問だ。転移門の王都管理者からは「大丈夫」とは言われたが……怖えよ、異世界!!失敗したらどうすんだよオイ!?

その転移門。使い放題と言っても、転移門に魔力の提供か魔石の提出が義務付けられている。昨日シャーロック公爵に、13人分と荷物を転移させても問題ないくらいの魔力量だと言われたので多分大丈夫だろう。……俺としてはエルマーの分は自分で出させたいが…まあ仕方ない。雇用主だもんな…。

エルマーは正式にプレンダーガストで雇うことになった。もちろん給金もプレンダーガストで出す。業腹だが何か問題があった時に「お前に雇われてない」と言われればおしまいだしな。今朝は遅れずに出勤してきたエルマーは非常に静かで良かった。誰とも口をきかないし、ティグレに舌打ちしてたけど。


さて!では魔力とやらを充填して出発!




ちなみに、転移門はやっぱり壊れてたようで隣の領地の転移門に飛ばされた。








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