上 下
51 / 125
王都編

武家は龍種を狩って一人前

しおりを挟む


来た時とは違う道を通り、執務室へ戻る。……なにやら騒がしいけど…んんー?


「!!陛下!殿下!至急退避願います!!」


んあ!?


「どうしました」

「ド…ドラゴン、です!!」

「な…!?」

「ドラゴン…!?」

「!」


ドラゴン!?ドラゴンってあれだ!ヒノモトでいう龍種。討伐対象!!


「狩っていいですか?」

「「「「は!?!?」」」」

「えっ…」

「え…」

「は…な、にを…!?」

「え?だって龍種でしょう?狩って…」

「は…?」

「「「「………………」」」」


あっれええええ???なに?狩っちゃ駄目なやつ?ヒノモトの武家じゃあ龍種狩ったら一人前、とか言うんだけどなあ?


「あ…え、えーと、あの、一対一サシじゃないですよ?ええ、ちゃんとみんなで協力!手柄、独り占め、よくない!ね?あとの試し斬りもしたいですし」

「ひとりじめ…」

「ためしぎり…」

「きょうりょく…」


黒い刀と短筒に手を掛けて見せると、ティグレが溜息を吐いた。


「リオ、何か手伝えることは?」

「うちの護衛騎士5人に援護の要請。非戦闘員の避難誘導。負傷者がいれば回収…かな?」

「わかった」


よし!今日も俺のティグレは優秀すぎる!


「状況の報告を」

「は…?……はっ!」


うん、さすが執務室まで入って来れる近衛騎士。切り替えが早い。陛下とラドの避難をさせに来た近衛騎士は姿勢を正した。

龍種ドラゴンは半刻ほど前に王都上空に現れ、城下を破壊しながらまっすぐに王城へ進行中。王国騎士団が応戦するが進撃は止まらず。


「げ…現在、純白のフェンリルと思しき神獣が交戦中!」

「うちの犬が?」

「い…いぬ…!?」

「真っ白なでかい犬だろ?うちのポチだ」

「……?……???…!?!?」

「タマ?どうなってる?無事か?」


トントン、と腕輪型魔道具を指で叩くと


「ごしゅじいいいいいん!!」


タマがシュパ!と現れてしがみついてきた。


「オイラずっと呼んでたニャ!どこ行ってたニャ!ニャニャー!うわきものぉ!」

「ははは、ごめんごめん。ちょっとご褒美もらいに、な?」

「!!ニャニャ!」


刀と短筒を見せると、タマはキラーンと目を輝かせた。


「良いものニャン!異界の神の匂いがするニャン!むむ!オイラが第一で犬が第二、ならが第三夫人ニャ!?」

「ふじん???ペットのことか?これは武器だから違うんじゃないかな?」

「うー?ニャ?違うニャァ?」


「ンンン!」


おっと、遊びすぎたか。ラドじょうしの咳払い怖ぇ!

タマを肩に乗せる。


「じゃあ、いっちょいきますか!」

「いきますニャァン!」



楽しい楽しい討伐開始だ!




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】狼獣人が俺を離してくれません。

福の島
BL
異世界転移ってほんとにあるんだなぁとしみじみ。 俺が異世界に来てから早2年、高校一年だった俺はもう3年に近い歳になってるし、ここに来てから魔法も使えるし、背も伸びた。 今はBランク冒険者としてがむしゃらに働いてたんだけど、 貯金が人生何周か全力で遊んで暮らせるレベルになったから東の獣の国に行くことにした。 …どうしよう…助けた元奴隷狼獣人が俺に懐いちまった… 訳あり執着狼獣人✖️異世界転移冒険者 NLカプ含む脇カプもあります。 人に近い獣人と獣に近い獣人が共存する世界です。 このお話の獣人は人に近い方の獣人です。 全体的にフワッとしています。

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます

オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。 魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

僕はただの平民なのに、やたら敵視されています

カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。 平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。 真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

僕の大好きな旦那様は後悔する

小町
BL
バッドエンドです! 攻めのことが大好きな受けと政略結婚だから、と割り切り受けの愛を迷惑と感じる攻めのもだもだと、最終的に受けが死ぬことによって段々と攻めが後悔してくるお話です!拙作ですがよろしくお願いします!! 暗い話にするはずが、コメディぽくなってしまいました、、、。

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

溺愛お義兄様を卒業しようと思ったら、、、

ShoTaro
BL
僕・テオドールは、6歳の時にロックス公爵家に引き取られた。 そこから始まった兄・レオナルドの溺愛。 元々貴族ではなく、ただの庶子であるテオドールは、15歳となり、成人まで残すところ一年。独り立ちする計画を立てていた。 兄からの卒業。 レオナルドはそんなことを許すはずもなく、、 全4話で1日1話更新します。 R-18も多少入りますが、最後の1話のみです。

処理中です...