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王都編
正気度がガリガリ削られていく
しおりを挟む大公邸でラドの乳母が待っているとのことなので、そのまま馬車に乗って大公邸へGO。エルマーは銀ピカのラドの馬車に俺と一緒に乗り込もうとした。
馬鹿なのこいつ?
慌ててティグレが止めようとしたけど、ティグレをめっちゃ蔑んだ目で見やがったから
「降りろ、エルマー。お前は護衛だ」
威圧をかけながら制した。王兄に指摘されるより、俺が言ったほうが穏便に終わる。……ったく。幼等部のガキじゃあねえんだぞ!?
「えっ…なん…?なんで?」
「殿下が「来い」と言ったのは私だ。何故護衛であるお前まで乗り込む?」
「え…?いや、だって、俺は侯爵家だぜ?リオは伯爵家だろ?俺の方が身分が上だし……」
「誰がお前に私を『リオ』と呼ぶことを許した?陛下か?殿下か?それならば仕方ない。少なくとも私は許可していない」
「……っ!?おまえっ…!いい加減にしろよ!!この俺が優しくしてやってんのに!弁えろよ!?ツンデレも過ぎると可愛いくね… 」
「エルマー・ゲージ」
「………っ…!」
ほら見ろ。ラドは馬鹿が嫌いなんだ。俺も嫌いだけど。
「下がりなさい。この度のことは君の父親に直接問いただしておこう」
「なんっ……!?ちょっと!待ってくださいよ殿下!親父に言いつけるとかないでしょう!?子供のじゃれあいじゃないですかぁ…殿下って結構大人気ないなあ、もう……」
ぶつぶつと不満を漏らしながら引き下がる。
「ティグレは来なさい。リオの精神安定剤が必要です」
「なあっ!?なんでお前が…!!??」
「承知いたしました」
ティグレが一礼して馬車に乗り込む。座ったのはもちろん俺の隣だ。
ガラガラと馬車が走り出して
「……っはあああ!もう…なんなんですか、あれ……どうしたいんですか……」
んあー!っとなってティグレの膝に縋り付く。減る!精神が!堪忍袋が!正気度がガリガリ削られていく!!
「ふふ…貴方が弱っているのは見ていて楽しいですが、殺してしまわないでくださいね?」
「えええ……殺してスッキリしたい…」
「なんという反社会的精神病質者思考」
クソサド王兄は楽しそうにくつくつ笑う。
「エルマーの父親、ゲージ侯爵家当主は『王兄派閥』なんだがね、これがまあ『第一王子派閥』と繋がっているらしいんだ。先日の『昏暮の影』もそれ絡みだね。エルマーは君に近付いて情報を抜こうとしているのかな?あと単純にリオに取って代わろうとしている。……やれやれ、どうしてくれるんだい?君が可愛すぎるから私は幼児性愛者だと思われてしまったようだ」
「はあ…俺は餌ですか」
「ゲージ侯爵家を潰すのは簡単なんだが、彼は『贈り人』だろう?無駄に廃棄するには惜しい」
「なんというかまあ…エルマーのいた『ニホン』という国はおかしな国だったのでしょうね。ヒノモトでも外国かぶれした奴らが国軍施設の前で『戦争反対』とか『自由と平和を』とか看板掲げてましたが、あれ全部、国を弱体化させようとする国外勢力の工作ですからね。平和と自由は有史以来の犬猿です。あれを真に受けて、一体何人の若者がやらかして前科がついたやら…」
「君のいた『ヒノモト』はとんでもない修羅の国だったのだね…」
「?普通でしたよ?」
ティグレの絶妙な力加減の『よしよし』で精神汚染回復!今日も一日、頑張るかぁ…。
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