【完結】リオ・プレンダーガストはラスボスである

とうや

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王都編

マ…マヨネーズ!?

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正直やりすぎた感はある。

空腹と疲労でハイになって騎士団長と愉快な仲間たちをボコって、聖女のお嬢さんに5回ほどエリアヒール?とかいう範囲回復魔法をかけてもらった。そしたら聖女のお嬢さんがハアハアしだしたから仕方なく騎士団長をピンでボコった。最初は無駄に元気だった騎士団長オッサンは次第に目が虚になり、土下座で泣きを入れ、それでも木剣を握らせて「さーこい!来ないと10倍ボコる」と脅し、7回目くらいで国王陛下が泣いた。いやマジで。「もうやめてやってくれぇ…」とか。筋骨隆々の爺さんは「いいぞ、もっとやれ」ってラドと酒飲み始めてたのに。

国王陛下、あの騎士団長こんじょうまがりと友達だってさ。あと筋骨隆々の爺さんは根性曲りの実祖父。どっちもさあ……俺に迷惑かけねえでくれよ。

ラドが「このくらいでいいですかね」って終了サインを出したから、さあ帰って飯だ、飯!……って思ったら力が抜けた。


「リオ!!」


朦朧とする視界の端で、ティグレが慌てて走ってきているのが見える。その、手には……


「リオ!ハムサンド!!」

「ハムサンドォ!!!」


差し出されたハムサンドに齧り付く。オオオオオオオオオオ!ちゃんと俺が好きなちょっと酸っぱいライ麦パンで、薄くバターを塗ってある。ハム!分厚い!!目玉焼き!半熟!!高級品の胡椒!チシャまで挟んである!!し、しかもこれは……


「マ…マヨネーズ…!?」


マヨネーズだ!辛子マヨネーズ!!俺の好きな辛子多め!なんてこった!ここは天国か!?


「厨房を借りて作ってきた。見た事ない調味料とかもあって……でも絶対美味しいからって料理人の人に薦められて……」

「うまい!うまーい!おかわり!!」

「2個目は自分で食べてね」

「ちぇー…けちぃ」


楽でいいのにぃ…

ハムサンドを両手に持って貪り食う。ティグレが素焼きのカップに入れた飲み物を口元に当ててくれた。うんまー!なにこれ!?まさかコンソメ!?コンソメスープ!!??ウッソだろ…これが都会…!お城のご飯、美味しい!!俺、ここんの子になりたい!いや、料理人を連れて帰りたい!リサや使用人、領民達にも食わせてやりてえ!!


「…お気に召しまして?」


ニコニコ顔で、すげー美人が立ってた。ちょっとキツめの顔の、銀髪の上品な美人。ヒノモトなら大企業の社長秘書とかやってそう。


「ごめんなさいね。ティグ×リオの間に挟まるなんて万死に値すると思うけど、どうしても至近距離で見たk……ンン!ゴホン!ご挨拶したくて」


てぐりお???なんじゃそりゃ?


「わたくしはイヴリン・モンサロ。一応、この国の王妃をやっておりますのよ」


一応って……


「ねえ、リオ・プレンダーガスト様?マヨネーズをご存知ですの?コンソメスープも。貴方はもしや…………いいえ、ここではダメですわ。そうだ!お茶会致しましょう!甘いものはお好き?ケーキやアイスクリーム、マカロンマドレーヌダックワーズ、お蕎麦におうどん、カレーキッシュサンドイッチ…」

「蕎麦!えっ……ほ、ホントに?蕎麦?出汁?!」

「ええ、昆布出汁鰹出汁あご出汁煮干し出汁貝柱出汁ございましてよ」

「是非に!!」

「リ…リオ???」


料理チートきたあああああああ!!!





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