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王都編
止めるならもっと早く止めて欲しいなァ…
しおりを挟む「……『あのリリアーナ』とはどういう意味でしょうか?うちの母が何か?」
「………っ…そ、そういうところだ!その生意気な目…!頭と股の緩い女の子供のくせに!嘘ばかりを吐いて、夢のような事ばかり言って!!お前のような子供に王国騎士が遅れをとるはずがない!幾らで買収した!?どんな魔道具を使った!?……ああ、報告にあった魔獣の仕業か!」
「…へえ?王国騎士ってのは金で虚偽の報告をするのでしょうか?私は辺境出身なのでなんとも言えませんが……王国騎士とやらは恐ろしい。賄賂で誇りを売りますか」
「きっ…!きさまぁああああ!!」
「そこまで!!」
パン!とラドが手を叩く。
「王の御前である!見苦しい言い争いはやめなさい」
「(止めるならもっと早く止めて欲しいなァ…)」
「何か言いましたか?」
「いいえ、言ってません」
ああ、めんどくさい。腹が減ってるのに、こんな頭が筋肉みたいなオッサンの相手とか……あー、早く終わらせて飯が食いたい。ティグレの作ったハムサンド食いたい。はー……もおおおおおおぉぉ…!
「良いでしょう。私も実際に見ていないので、リオに実演していただきましょう。どうやって『昏暮の影』の暗殺者集団を屠ったのか。口頭ではいまいちわからない場面もありましたし」
「えー…ええええ……」
「なにか?」
「いいええ!なんでもございません!」
クッソ!あの赤鎧!泣くまでぶん殴ってやりてぇ!!
かくして、現場は謁見の間から演習場へ。這う這うの体で謁見の間から出てきた俺に、ティグレが駆け寄る。
「リオ…!!」
「……ぉなか…すいた……」
「……は???」
「ハムサンド食べたい…お前の作った、表面炙ったハムの……うっ…ぐすっ……、黒パンの…ふぇえ……お、お腹すいた、よぉ…!」
「え……えぇぇ…?」
「何をしているのです、さっさと歩きなさい」
サド王兄の無情な声が俺に鞭打つ。クッソ!今のはティグレが絶対甘やかしてくれるパターンだぞ!ハムが厚切りになるやつだ!目玉焼きまで付いてるかもしれない!絶対そうだ!!ぅええええええん!(空腹のため思考幼児退行中)
「仕方のない子だ。早くなさい」
腕を掴まれ、ずるずると引きずられていく。
あれ……この世界、子供に厳しくね?(号泣)
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