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王都編
陰険腹黒変態野郎相手に遠慮も忖度も要らん!
しおりを挟む屋敷は森の中に建っているのに虫がいなかった。なんという快適!!建造物保護なんとかという魔法が効いているらしい。異世界最高!!
俺が目を輝かせたのと同じくして、ティグレも犬猫もキラキラした目をして俺を見た。
「ここ!風呂も台所もあります!廁もスライム式で清潔です!」
あー、はいはい。ティグレや、気に入ったんだな。
「この森は魔素が濃いニャン!魔獣はいないけど、寝てるだけでも生きていけるニャ!」
「ガウガウ!キャウンッ」
あーはいはい。お前らもかブルータス。
王兄殿下がニヤニヤしてんのが気に入らねえが……まあ良い!虫がいねえしな!
「あー……えっと、殿下…」
「うん?……そうだね、リオ?私のことはラドルファスと呼びなさい」
「えー…」
「ん?恥ずかしければラドルファス様でもお兄様でも……」
「あっ、じゃあ『ラド』で」
「えっ………えーと、君?結構…いや、かなり図太いね?」
「よく言われます」
陰険腹黒変態野郎相手に遠慮も忖度も要らん!
「はあ…どうも君の相手をしていると調子が狂うね。……まあいい。ではこの屋敷に使用人を派遣しよう。それと護衛も。君には要らないだろうが、油断して殺される相手が哀れだ。あと私の仕事が増える。やるなら纏めて潰しなさい」
「御意」
「ぎょ…御意?」
「あ、つい……俺って前世は軍人なんですよ。その名残です」
「ああ……君のおかしな戦闘能力と知識はそこか……うん、わかった。あまり突っ込まないようにしよう。それと『前世持ち』としての登録は?」
「辺境生まれの辺境育ちなのでやってないです」
「…案外根に持つね?」
「田舎者なんで」
「前世の国は何という?それだけ判れば私が手続きをしておこう」
「ヒノモトです。『地球』の『ヒノモト』」
「わかった。身元保証人は私でいいね?」
「はい」
この世界で前世の記憶のある者は『贈り人』と呼ばれる。国によって細かな対応が違うが、大体は国ぐるみで囲う。なんでも『界』と呼ばれる異世界同士の狭間を潜った魂は、格段に何かしらの能力が向上するらしい。あと単純に知識チート。俺の趣味みたいにしょぼいやつもあれば、もしかして現代兵器を再現できるやつもいるかもしれない。居たら是非ともお目にかかって仲良くなりたい。銃とか対戦車砲とか欲しい。ああ…でも一番欲しいのは『刀』だ。ヒノモトの曲剣。この国の剣は鋳造だが、鍛造のできる鍛治師は居ないものか。
『プレンダーガストに帰ったらやること』が増えていく。あーもう。早く帰りてぇなぁ…。
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