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領地編1

王都に出発!

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王都に旅立つ日が来た。

昼前に迎えに来た王兄殿下のとこの馬車に乗って、片道10日の道を行く。リサを筆頭に、使用人たちが号泣しながら見送ってくれた。今生の別れじゃあるまいに。セバスだけはリサの肩を抱きながらニコニコして手を振ってたが。

護衛騎士も旅費もあっち持ちだ。気前がいいね、王兄殿下。

たださあ…この馬車、あんまり乗り心地良くないんだよな。馬の方が乗り心地良いとかどういうこと?サスペンション開発する?しちゃう?よし、やろう。

プレンダーガストは小さな領地だ。半刻以上、馬車に乗ったことがない。だからこの世界の足事情に目が行かなかったが……あー、クソッ!尻が4つに割れそうだ!!

馬車の旅は12歳のリオくんには早かったか…。

日暮れ前、馬車は今日の宿泊地に停まった。ヨロヨロしながら馬車から降りようとすると、ひょい、と先に降りたティグレに抱っこされた。……そう、抱っこ、だ。子供にするように、前抱きに。

な…なんという屈辱…!!

いや待て、リオくんはまだ12歳だ。子供だ。『抱っこ』もなんら問題ない。問題があるとすれば、抱っこしているのが2年前まで俺よりチビガリのガキだったティグレだということだ。なんだこれ。遺伝子の敗北!?北方貴族の曾祖母様だかの血か!?それとも「もう少し体が育ったら鍛錬を始めよう」と言い訳していたツケか!?く…くそ!王都から帰ったらすぐに鍛錬開始だ!幸い、ガラス産業も、その他農業も軌道に乗ってきた。披露目式が終われば王兄殿下より格下の貴族から釣書も、『自称親戚』も来なくなるだろう。完全に!俺のターンだ!!



次の日から、なぜか俺はティグレの膝の上に乗せられた。……まああれだ。ないよりマシだけどさあ!もうちょっとこうさあ!?


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