【完結】リオ・プレンダーガストはラスボスである

とうや

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領地編1

猫の子だと言い張った

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ティグレを猫の子だと言い張って屋敷に連れ帰った。セバスには散々叱られたが


「このような幼児おさなごが受けて良い仕打ちじゃあない。この様子だと施設でも浮くだろうし」


そう言うと、盛大な溜息を吐かれた。ティグレは執事見習いとしてプレンダーガストに引き取る事になった。

現在、プレンダーガストには34人の使用人がいる。家令のセバスと料理人、料理人兼、母の侍女であり俺の乳母のリサ以外は全員俺が拾ってきた。ほぼ全員、何故か「給料は要らない!そばにおいてくれ」と言われたんだが……まあ前世でもよくあったことだから「よし来い!」と……。あー、おわかりだろうか。セバスが「もう人間は拾ってくるな」と言った理由が。最初は「給金が出せない」と渋っていたセバスも、商いが軌道に乗り借金を返し終わると今度は「坊ちゃんを狙う刺客かもしれません!」とダメ出しをするようになった。だがその頃にはうちの屋敷には優秀なボディガードが闊歩するようになっていた。犬のポチと、猫のタマだ。セバスは「あれはフェンリルとケットシーです!魔獣です!!」とか寝ぼけたことを言っていたが、神狼と妖精猫がその辺に落ちてるわけないだろう。ちょっとだけ態度と図体のデカい犬と、ちょっとだけ人語を解する賢い猫だ。うん。

引き取ったティグレは何故か俺について回った。無表情で、3歩下がってトテトテ付いてくる。セバスや男性使用人たちが引き剥がそうとしていたが、気付くとまた背後にいる。それを見てなんだかリサや女性使用人たちが嬉しそうだから良しとする。


「ティグレ、お前は今何歳だ?」

「………ん、じゅう…に?」

「12歳!?」


なんということだ。あのクソは母と結婚する前から『兄』を他所でこさえていたのだ。歳の数え方は、盤を売ってくれたババ…いや、ご婦人が教えてくれていたらしい。業突張りの銭ゲバババアだと思っていたが、中々優しいところもあるんだな。今度、饅頭でも差し入れてやろう。

2歳上の『兄』。だがプレンダーガストの血は引いていない。……面倒ごとが起こる予感しかない。それでなくても最近、『親戚』とやらが五月蝿い。商いが軌道に乗り、前伯爵代理クソクズの借金をポンと払い終わったと情報が回ったんだろう。


没落寸前の時は目も合わせず、上向いてきたら擦り寄ってくるとは。うちの猫よりも始末が悪いな。



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