それではみなさま、ごきげんよう〜服飾師ソワヨは逃げ切りたい〜

とうや

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7.チョロすぎない?

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ダメだわ、この国。断種しなきゃ。

わたくしは目線だけでお父様に合図を送る。「まあ陛下、女性にはわからない話もありますからこちらに…」と、お父様はうまい具合に陛下を連れ出してくれた。グッジョブ、ポメラニアン。

わたくしの中で、高速でやるべきことが浮かんでいく。


「ソワヨさん…」


王妃様がわたくしの隣に座る。密着して。


「ねえ、ソワヨさん。あの子を許してあげて?いかがわしいパーティー通いも、クズーヴィチ男爵令嬢の件も、わたくしがきちんと言って聞かせます」


そっと手を取り、見つめられた。わたくしは俯いたままだが。


「一度だけでいいの。もうこんなことはさせないわ。大丈夫、きちんと話せばわかってくれる子よ?ね?」


……ふーん、へー、ほー。下半身に話しかければ聞いてくれるかも知れませんねえ?

あのロリコン脳みそ下半身屑男を形成したのはお前か、この脳みそお花畑女。こいつらのせいで、リーゼロッテが……!


婚約破棄と慰謝料だけでは生ぬるいわ。公開処刑決定にしてくれる。


わたくしはキュッと唇を噛んだ。唸れ、わたくしの演技力!さあ、仕事だ、涙腺!涙を出せ!!


「で…でも……」

「ソワヨさん…?」


わたくしはほろりと涙を流した。メイクが崩れない、一番美しく見える泣き方だ。これは2番目の姉が教えてくれた。


「でも、わたくし……ふ、不安、で…」

「……っ…ぁ………!?」


王妃様の手を握り返し、濡れた瞳で見つめる。これは3番目の姉に教わった「うんと言わない男の落とし方」だ。女性に効くか不安だったが……うん、効いてる効いてる。


「王妃様…」


王妃様に身を寄せた。これは男には絶対にするなと言いながら1番目の姉が教えてくれた。ええ、やべーですもんね?お姉様たち直伝のエッロエロ陥落術なんか、女に飢えた魔豚オークの前で裸踊りをするようなものです。


「わたくし、王妃様を『おかあさま』と呼びとうございます。でも…でも……怖いのです。殿下が何を考えていらっしゃるか…わたくし……わからないのです…」

「ソワヨさん…!ああ、なんて可哀想に…!!」


王妃様がわたくしをギュッと抱きしめます。よっしゃ、落ちた!

息が掛かるか掛からないかの近さで、わたくしたちは見つめ合いました。


「殿下のお心がわかる魔術や……お薬、などあれば……わたくし…うぅっ…!」

「……手配するわ!」

「………え…?」

「あの子はきっと素直になれていないのよ!だってソワヨさんはこんなに素敵なお嬢さんですもの…!わたくしが、あの子が素直になるお薬を手配するわ!!」

「で、でも…そんな……尊い御身に…それに、陛下がなんと仰るか……」

「わたくしがなんとかするわ!陛下には、……そうね、まだ黙っていましょう?だからね…?もう、泣くのはおよしなさい?」

「……お…おかあさま…っ!」





えーと…王妃様?一国の王妃として、チョロすぎない?




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