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4.よろしい、ならば戦争だ。

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見合いの話を持ってきたその日のうちに断らせた。だって。あの男だけは、ない。わたくしが男性不信になったのはあの男とクソ売女ビッチのせいだ。あと取り巻きども。

お断りした縁談は、王命となって戻ってきた。クソが。なぜ持って帰る、このポンポメ!


「んっふふ…舐められたものだよねぇ、ルイーセの侯爵家も」


お父様?お母様の侯爵家ではなく、お兄様方が継ぐルナール侯爵家ですよ?


「仕方ないね……安心しておくれソワヨ。ルイーセの母上は先々代の王妹だし、僕のお婆様は隣国の公爵家出身だ。いざとなったら……」


いざとなったら、なんですの!!??

怖い。怖いわー、このポメラニアン。猛犬注意の張り紙がいるかしら?


そういうことで、王太子がうちの屋敷にやってくることになった。顔合わせ、だそうだ。顔合わせもなにも、学生時代は良く顔を見ていた。リーゼロッテのおまけで。

学園での王太子とクソビッチ、その取り巻きたちはことあるごとにリーゼロッテに怒鳴り込んできた。やれクソビッチに水を掛けただの、持ち物を盗んだだの、足を引っ掛けただの。「リーゼロッテ様にはわたくしが常に付き従っておりますので無理ですよ?」と言っても聞かなかった。挙句に「お前もグルになってアポリーヌを虐めているのか」とあらぬ疑いをかけられた。

……まあ証拠アリバイがあるんだけどね?だってわたくし、お父様に懇願して王家の影を派遣していただいているのだから。リーゼロッテには王位継承権があるし、わたくしもすっごーく順位の低い継承権がある。十何番目くらいだけど。だからゴリ押しで王家の影をつけてもらった。王家の影ってもっと真っ黒い服装で屋根裏に潜んでる間者みたいなものだと思ったら、普通に生徒や小間使に溶け込んでてびっくりだわ。


そんなこんなでうちに来た王太子。真っ赤な薔薇の花束を持って。


「久しぶりだ、ソワヨ嬢」

「まあ、本当に。2年ぶりでございますね」


あとわたくしのファーストネームを勝手に呼ぶな。学生時代の時のようにルナールと呼べ。

何様俺様王太子様なクソ王太子は、見事に好青年の笑顔を貼り付けていた。お茶をしながら当たり障りのない会話をし、わたくしの商会のことを聞きたがっていたがひらりとかわし。


うーん、王家の狙いはルナール侯爵家うちの財力と、わたくしの個人資産かぁ。


まあ、稼がせて頂いてますよ?わたくし、多少の才能がございましたし、努力しておりますし、ルナール侯爵家のバックアップもありますしね?近隣国に嫁いだお姉様達とお兄様達の婚約者様に広告塔になって頂いておりますから。


帰り際、わたくしは王太子が小さく舌打ちをしたのを聞き逃さなかった。ええ、知っておりました。王家の再教育は無駄だったということを。







よろしい、ならば戦争だ。











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