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2.何を言いやがりましたか、このポメラニアン
しおりを挟むわたくしはソワヨ。ただの服飾師ですわ。少しだけ才能があったのと、生まれた家が侯爵家だったということで、近隣国でも少しだけ有名な服飾師でになりました。
上の兄や姉は武力や美貌、芸術、智力に優れたのに、末っ子であるわたくしはどこかパッとせず、全てが『無難』な娘に育ちました。それでも『うちの子は馬鹿でも可愛い。いいえ、馬鹿だから可愛い』というデキる上位者の嗜好にドンピシャだったわたくしは愛されて育ちました。ありがたいことですね。
ちなみにお父様は策謀に長けた宰相なのですが、わたくしのこととなるとポンコツです。ポメラニアン癒し系の愛らしさで、侯爵家の一人娘だったお母様を籠絡し、その腹黒さ……げふん、策謀で国の宰相までのし上がった男爵家出身の入婿です。この国の貴族の嗜みとまで言われる愛人も持たず、お母様だけを愛し続けた変態……ンンンッ!変わったお方でございますね。
さて、わたくしがうっかり引き篭もった原因ですが、『運命』を見つけてしまったのです。あ、物語などの安っぽい『運命の恋』などではありません。わたくしは先日、最高神の神子様と出会い、『ああ!わたくしはこの方にお仕えする為に生まれてきた!!』と天啓を授かったのです。あの麗しくも愛らしい神子様に似合うデザインを。この目に、脳に、神子アールツナイ様のお姿が鮮明に残っているうちに…!!とデザイン帳に書き殴っていたら……ええ、はい。なんとわたくし、5日も籠っていたそうです。………あれは5日分の尿意……(ブルブル…)
そして放尿を終えたわたくしは倒れてしまったのですが、今現在、ばあや特製ミルクパン粥、桃のコンポート味を食べております。美味しい…!パン粥は赤ちゃんの食べ物だった気がしますが、ばあやにはわたくしがまだ赤ちゃんに思えるのでしょうね。
「……すまなかった、ソワヨ…!国のためとはいえ、お前の価値もわからぬ若造に仕えろなどと……!死んだルイーセに100回ぶん殴られてアソコを蝋燭責めにあっても文句も言えないというのに…!!」
蝋燭責め???
ああ……えーと、お母様はわたくしを産んだ後亡くなっています。肖像画を見ると、とても女王様……げふん、威厳のある美しいお方でございました。(現実逃避)
「すまなかったソワヨ!でもパパ、お前に最高のプレゼントを持ってきたんだ!……いや、お詫びの品だな」
……ん?何を言いやがりましたか、このポメラニアン???
「王太子妃になって、この国を貰っちゃおう?」
はいぃ!!??
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