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【勇者視点】
しおりを挟む「………はあ?」
俺は我が目を疑った。
ユキちゃんが……男とキスしてる………
なんで!?なんで、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんで!?なんでなんだ!?『ユキ』が惚れるのは勇者だろ!?プレーヤーで ーーー ヒーローの勇者だろう!
魔王城の最上階。そこから俺たちを見下ろすバルコニーで、ユキちゃんは魔王とキスをしていた。
《遠視》でわかる、ユキちゃんの表情。
トロリと蕩けて、欲情して。魔王に縋り付いて舌を絡め合っていた。
「あー…タクヤぁ、ありゃダメだよ。あの2人、もう毎晩ヤッてるよ。お古はヤなんでしょ?」
「うるさい!!」
「きゃっ…!……もお、怒鳴んないでよぉ…」
無神経でビッチなことを言ってくる魔術師を黙らせる。
なんで……どうして………
魔王がユキちゃんを抱いて消えて行った最上階のバルコニーを見つめ続ける。暫くして魔王は一人で現れた。……何故だ?!ユキちゃんは…『ユキ』は戦闘で役に立つ。結界を張り、傷を癒やし、強力なバフをかけてくれる。なのになぜ使わない!?どこに隠したんだ!?
最上階から地上の黒門前まで。ふわりと降り立った魔王はニィッと口の端だけで笑った。兵隊たちに緊張が走る。
ギッ…ゴ……ゴ……ゴゴゴゴゴ…ゴゥン…
巨大な黒い門が軋みながら開かれていく。
「さあ祭りだ!腹いっぱい食い散らかせ!」
それが開戦の合図。
門の中から怒号を上げて大鬼たちが溢れ出てきた。
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