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夢じゃなかったワンコ
しおりを挟む目が覚めたら千早の顔があった。………なぁんだ…夢かあ……。
やけにリアルな夢だった。ヌルッとぐちゃっとしてなまあったかい触れた肉の感触も、なんとも言えない獣と生臭い脂の臭いも。
なんてひどい…ゆめ……
コロンと寝返りを打つと、そこには白いぬいぐるみがあった。特大サイズの、お行儀よく座った白い犬のぬいぐるみだ。かわいいなあ…もふもふだあ……
……………………ん???
「夢じゃないッ!?」
跳ね起きた。うそ…うそおおおおお!?
ワンコがお行儀よく座ったまま輝くような顔で尻尾を振っている。
「起きたか、ユキ」
「え…えええ……!?」
「大丈夫、躾は済ませた」
「えっ…ワンコの?」
「ああ。誰が上か理解させないとな」
もー!?千早、それって虐待だからねっ!?
ベッドから這い出そうとすると千早が俺の腰に纏わりつく。ひい!?俺も千早も素っ裸なんですけどおおおおお!?
「ちょ…千早、ダメだって……」
「何が?」
「なにって……ひゃっ!?」
脇腹に噛み付かれた。痛くない。でも……
「……ち…はや……!ダメだって!たべないで…!!」
はむはむ。ぺろぺろ。たまにちゅうって吸い上げてくる。ダメだって……だめ…!だめだめだめだめ!!気持ちよくなっちゃう!!!
「ワンコが見てるからダメ!」
「ハウス!」
「キュウウウウウウウウン…」
すごすごと部屋を出て行こうとするワンコ。うわああああん!俺の犬のはずなのに千早の言うこと聞いてるううううう!!
「ワンコ!行っちゃダメ!えーと、えーーーと!とにかくダメ!」
「キャウン!」
ピッとお耳を立ててお座りする。わあい!俺の言うことも聞くんだ!すごいすごい!
「千早、こういうのは夜じゃないとダメ!」
「…………」
「よ…夜にね?ちゃんとお風呂入ってからなら…いいよ?」
「よし、待とう」
……ほっ。
脇腹を食べるのはやめてくれたけど、お尻とかムニムニ触ってる千早の手から這い出して。ワンコの前に行くと……あれ?おっきい!?めちゃくちゃおっきいんだけどワンコ!?
「千早!ワンコがおっきい!!」
「あ?いや、小さくなったって聞いたぞ?ダンジョンではもう一回りデカかったって報告されたが…」
「えええええ…」
ワンコの大きさは俺より千早より大きい。二足歩行したら羅刹さんくらいじゃないだろうか。しかも長毛のモッフモフだ。
「うわあい!モフモフだあ!」
素っ裸でダイブする。あ、だれか洗ってくれたのかな?ふわふわでいい匂いがするう!
「ユキ!裸で触れ合うのは俺だけにしろ!」
すぐにすっ飛んできた千早にペリッて剥がされたけど。うーん、残念!
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イメージはサモエド(*´ω`*)
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