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ワンコの骨と生きていくということ
しおりを挟むさっそく厨房に動物の骨を貰いに行った。千早の抱っこで移動…。
あのさあ?俺もうおっきいよ?身長だって170……い、いや165センチくらいはあると思うよ?ごめんなさいサバ読みました…。でもクレープのお兄さんとおんなじくらいあると思うよ!?お母さんよりはまだ低いけど!
そう思ってチラッと千早を見る。
……うん、嬉しそう…。俺の大好きな千早の顔がだらしなくないくらいに緩んでて、至近距離で見ると破壊力抜群です…。これがしょんぼりするのは無理。俺的に無理。
お昼時の厨房は忙しそうで、でも俺たちを見るとちゃんと料理長が来てくれた。
「……骨、ですか?」
「ああ。ユキの訓練に使う」
「狩った割には歳がいってて食いでがなかった犬ならありますよ」
「それでいい」
うわあ。最初からワンコかあ…。身近な動物は辛いかなあ…。……ううん!これから人間とか、身内同然だった村のみんなを蘇生するんだから慣れなくちゃ!
ふんす!と鼻息荒く気合を入れる………んだけど。
「……………オッフ…………………」
持ってきてもらったワンコの骨はめちゃくちゃ大量で大きくて、お肉がまだいっぱい付いてるフレッシュなやつだった…。しかも毛皮付き……。血と泥に汚れた毛皮が………
「…ぅえ……」
「ユキ、無理をするな」
「いやいや婿様、そこは無理をしてでも慣れさせましょう。何故親の僕より過保護なんですか」
「鬼か…」
「鬼ですね…」
「俺らより鬼なのか…」
「なんという温度差…!」
うん、お母さんの訓練の時はすっごいハードだったらしいから…。
でもやらなきゃ。っていうか、今まで食べてたお肉って、こんな感じになっちゃうと『いきものを食べる』っていうのがどんなことか分かるよね。俺がこの異世界で育った村は、土地が痩せてて寒くて、農作物は芋くらいしか出来なかった。だからギータにいちゃんたちは森に獲物を狩りに行ってた。俺はちゃんと捌いてもらってお肉になった姿しか知らなかったけど、生きるために食べるってこういうことなんだ。
下に下ろしてもらって、ワンコの毛皮にそっと触る。茶色と黒の毛皮はバサバサで、所々白髪が混じってる。
「がんばって生きたんだねえ…」
がんばって生きて、生存競争で死んで。それをまた生き返らせるって…。すごく残酷かもしれないけど。
「ねえ千早、生き返ったら、……俺が、飼っていい?」
「勿論だ」
「うん、ありがと」
大事にしよう。生き返ってよかった、って思ってくれるように。
「ではユキ、イメージしていきましょう。この犬がどんな姿だったのか」
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