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屋台ご飯とスペシャルクレープ
しおりを挟むクロさんに案内された『くりすさんのお店』はフードコートみたいな感じになってた。俺を連れてアヴァロンに行くって千早が連絡を入れてたから急遽入場制限してくれたんだってさ。何をどう制限したのかは聞かなかったけど、基準は『俺がふらふらしても誘拐されない』ってことだと思う。俺みたいなの誘拐してどうすんだって思うんだけど前例があるからね。お店の人もテーブルに座ってる人たちも殆どがクロさんの《眷属》らしい。
「ユキ、この店なラ自由に遊んでイイぞ」
そう言って姫抱っこから床に下ろしてもらった。うわーい!
クロさんの眷属の皆さんは『技巧人』っていう種族らしい。俺より小さいおじさんたちだ。
「おほお!千早様は別嬪な嫁を貰ったのう」
「幼妻か!やるのぉ」
ガハハと笑ってジョッキをグビリ。お昼ご飯なのかな?それなのにお酒!?
……うん、いっか。だって千早とクロさんもお酒飲むって言ってたし。
紅葉さんがベルトバッグに入れてくれた小銭を握って、まずはクレープだ!クレープのコーナーは卵と小麦粉とバターのいい匂いがする!食品サンプルがすごく美味しそうなんだけど!?
えー…えーと……どうしよう!?いちご…いちご食べたい!!あっ、でもベーコンと白っぽいチーズとかすごく美味しそう!!バナナも食べたい…あっ、生クリームカスタード!?うわあん!選べない!!
「フルーツ全部乗せと生クリームとカスタード、おかず系のベーコンチーズレタス照り焼きチキンの2種でどうでしょう?お連れ様と仲良く分け合えばペロリといけますよ」
「…………!はいっ!それで!」
きれーな顔したお兄さんがメニューにないスペシャルクレープを作ってくれた。飲み物はサービスらしいからおすすめのりんごの紅茶をお願いする。お金を払って千早のとこに走る。
千早は笑って手招きしてくれた。今日も俺の旦那の笑顔が尊い。定位置になった千早の膝に座る。
「いただきます!」
ぱくっと最初にいったのは、生クリームとカスタードたっぷりのフルーツ全部乗せ。あま~い!すっぱ~い!甘~い!甘~い!美味し~い!!
「はい、千早。あーん?」
た…食べかけだけどいいよね?男同士だし。嫁だし。……さっきチューもしちゃったし!
蕩けるみたいな顔で千早が俺に持ってるクレープに齧り付く。
「……ははっ、お前もそんな顔するんだなあ?」
なんでかちょっとだけ泣きそうな顔して、クロさんが笑った。
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