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覚醒
しおりを挟むーーー 生きていると都合が悪い。
千早のその言葉にゾッとした。
憎い、とかそういうんじゃないんだ。無機質な、熱のない感情。
都合が悪いから。生きてると。死なないと。都合が悪い。だから、死ねと、呪う。熱くも冷たくもない殺意。
「…しんかんさまぁ……!」
嫌だ。
生きて。死なないで。
死んだと思っていた。でも生きて、ここにいる。たしかに生きてるのに、また取り上げられるの?
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
小さくなってしまった神官様の体に縋り付く。
カチリ、とどこかで音がした。
《System》個体名『ユキ』の覚醒条件が揃いました。覚醒しますか?Y/N
「………は?え……」
「ユキ?」
あたりを見回す。みんな不思議そうにしてた。この声……たぶん、俺しか聞こえてない…。
《System》覚醒したら本来のチカラを取り戻せるよ嫁ちゃん?
あ……あれ?お義兄さん???
《System》呪いを砕き、欠損した四肢を甦らせ、僕たちでも不可侵のはずの魂魄を癒す。聖龍は死者の復活さえ容易に行うバケモノだった。
四肢を……そしたら…もしかしたら……神官様の体も……!
《System》うん?できるだろうね。だって君は《聖龍》の息子だから。……くふっ…!素晴らしいね!僕らでさえ手を焼いたその太古のチカラが復活する…!ねえ嫁ちゃん?僕がロックを外してあげるよ。だからね?そのチカラを千早くんに捧げてくれないかなあっ?
………よく…わかりません…
《System》…うーん。嫁ちゃんには難しいかなあ。要するに、傷を癒したりする力が使えるようにしてあげるから、千早くんとず~っと仲良くしてね!って話!
あっ…はい!千早と仲良くしたいです!ずっと…ずっと!
《System》……良い子だ。
パアッと辺りが明るくなる。眩しくて、目の奥がジンジンして、ひどく……眠い………
《System》個体名『ユキ』の覚醒を開始します。・・・・・・・・おめでとうございます。個体名『ユキ』は覚醒条件を満たしました。個体名『ユキ』は《龍人族・幼体》から《龍人族・聖龍》へ覚醒しました!
『女神の系譜』ルートは永遠に封鎖されました。
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