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魔王城とガラクタの山
しおりを挟む………あったかい。
いつぶりだろう。こんなにあったかいのは。前世の電気毛布?それともあの村で、神官様にギュッてされた時くらいだろうか。神官様は親のいない俺の父さんで、母さんで、兄さんだった。めちゃくちゃ甘やかされて育ったけど、村の子供達と悪戯したり危ないことしたらすっげえ痛いゲンコツが飛んできてた。
もう存在しない、俺の村。
ああ、あったかいなあ。俺を包む温もりにしがみ付く。なんかすげえいい匂いがする。柔軟剤とかそういう匂いじゃなくて、安心するみたいな……。
ぺろ。
「ひゃっ!?」
何かに瞼を舐められて目が覚める。えっ…なに!?俺、動物とか飼ってな……
『起きたか、嫁』
「!? え…、え、ええ???」
目の前に顔!美人!って言うか近い近い近い近い近い!!
「…………………………え」
謎の美人はニヤニヤ笑いながら俺を見ていた。
えっ…誰?なにこれ?
「え…?え……???」
どこ、ここ……。俺まだ寝てる?夢の美人が……
「………っ…」
飛び起きて美人から距離を……
取れなかった。がっちり掴まれた。腕じゃなくって足首を。
「ゆ…め……」
じゃ、なかった……。
俺、この人に助けを求めたんだ。夢だと思ってた。だって、こんな都合のいい……
『腹減ってないか?なんか食う?』
「……どこ…ここ………」
『んー?バベル』
ほんとどこ!?
掴まれた足はビクともしない。って言うか俺、あのおかしなスケスケ布切れつけたままパンツさえ穿いてない…!
きょろきょろと辺りを見る。……暗い。なんか、ホコリ臭いし、え…ご、ごみ捨て場…?
『魔王城っつった方がいいか?『傲慢のルシファー』の居城。んで、俺の部屋』
だからどこ、それ!?
「あ…あの、あし…はなして…」
『え?やだよ。放したらお前逃げるだろ?』
「に…逃げない。たぶん…逃げない、から…」
『ええ~、いいじゃん?すっげえエロい眺めなんだけど』
「………っ…!!」
足を掴んでた手が離れる。慌てて脚を閉じて股間を押さえる。だ…大丈夫。男同士なんだしちんこくらい見せたって……み、見せたって…よくねえよ!!
『可愛いなあ。真っ赤じゃん』
可愛いとか言うな!!
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