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ループの終わりと略奪
しおりを挟む小さな窓から光が見える。いつもの朝だ。色んなモノでカピカピの下半身と、涙でごわごわの俺の顔。
ループが始まった。
アイツの汚物を拭いてくれるから、この時間は少し好き。「まだ子供なのにな…」って呟く男を見るとドン底な気分に戻るけど。女の人が尻の穴に指突っ込んで掻き出してくれるのは慣れた。最初こそ暴れたんだけど、10回くらいループしてから諦めた。
どうせ誰も覚えてない。
みんな忘れる。そう思い知る。昨日のだって夢だ。都合のいい夢。だって、ここから連れ出してくれる人とか居ない。助けてって泣いても、誰も助けてくれない。だからあんなきれいな人が助けてくれるって夢を見た。……きれいな人だった。かっこよかったなあ。話を聞いてくれない人だったのは、俺の妄想の中の人物だからだろう。だから日本語なんて出てきたんだ。俺の妄想の中の、前世の記憶。
スマホの新機種欲しいとか、2組の女子が可愛いとか、ゲームのランキングが…とか。そんな他愛もない妄想の記憶。
オナホの俺をきれいにして、きれいな服を着せて。絶対口にしない食事を置いて。使用人の女の人たちと護衛の男の人たちは出て行く………え………………?
『迎えにきたぞ、嫁?』
俺の前に、妄想が現れた。
え……
なにこれ。すっげえリアル。真っ黒な髪と、吸い込まれそうな青い青い、見たことない色の青い瞳。小さな窓から漏れる月の光の下で見た昨日より、ずっとずっときれいな顔。背中にゾクゾクした何かが走るみたいな。
「……っ!?なにもn……!?」
血飛沫が舞って、女の人たちの体が全部バラバラになった。
………え?
男の人が剣を抜こうとしたのか、手が動いた瞬間に妄想の美人は男の人の首を掴んで壁に押し付けた。
『こいつ殺すか?』
………え?え?ええ???
『お前を憐れんだ目してた』
ああ……
「こ…ろさない、で」
やっとで声がでた。
この人は言ってくれた。「かわいそうに」って。助けてって言ったらなんかしてくれるって…。
軽いゴミでも投げ捨てるみたいに美人は男の人をぶん投げて、俺の方に手を伸ばした。
『ほら、忘れてなかっただろ?来いよ、嫁』
ああ……
夢かもしれない。ブッ壊れちゃった俺が見る、都合のいい夢。目が覚めたら、俺はまたアイツに突っ込まれてるのかもしれない。
でも。
でも……
「たす、けて…!」
俺は手を伸ばす。
美人が花が綻ぶように笑った。
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