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モテ期らしい
しおりを挟む元友人を殺した。殲滅魔法で薙ぎ払えば、シルヴェスターは一瞬で灰も残さず消滅した。悲しくない筈はない。苦しくない筈はない。俺の中のユスティアの残骸が慟哭しているけれど知ったことか。
アキと生きていく。そう、 ーーー 決めた。
アキも馬から降りてきて、満面の笑みで俺を褒める。ああ、まったく…。どいつもこいつも、最低最悪のひとでなしだ。俺に至ってはこの期に及んでまだ「人殺しなのにアキに嫌われなくて良かった」とか思ってる。最低だ。
「…ふふ……よくできました、ユス」
瞳を潤ませて。興奮に頬を染めてアキが言う。今にも襲われそうなエロい手付きで頬を撫でられ、唇を…………
「アアアアアアアアアアアア!!!なにやってんのよ!!??」
……………なんか、湧いた。
「ああああ!!あんたね!?あんたが魔王ね!?ユスティア様とあたしが結ばれる《運命》返しなさいよ!!」
うっわうるせえ。アキが酷くムッとした顔で俺を見た。据わった目が『ユスの昔の女?』と訊いてくる。違う違うと首を振ると、溜息を吐いて女に向き直った。
女は運命だの俺と結ばれるだの嘯いている。怖い。めちゃくちゃ怖い。目がイッてる。心の病か宇宙からの電波か。なんだろう……今生最大のモテ期だろうに嬉くない。泣きたいくらい嬉くない。アキに好かれてるのだけは嬉しいけど。女をやり込めてくれるアキがめちゃくちゃ頼もしい。かっこいい。男らしい。オッサンの胸がきゅんきゅんする。今なら掘られてもいい。
どうやら女は聖女らしく、『神』とか呼ばれてる存在を呼び出そうとしたんだが……
「……その『神』とやらは、コレですか?」
崖の階段を駆け上がって、やっと追いついたイチがニコニコ顔で何かを掲げていた。
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