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【暁視点】ユスが欲しい *

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自分から誘ったのに、アレを入れられた瞬間に体が強張った。

怖い。

痛い。

気持ち悪い。

もうずっとずっと昔のことだから。だから平気って思ったのに。


ユスが欲しい。


こんなに綺麗でカッコよくて、優しくて料理も上手くて。

本人はモテないモテないって言ってるけど、ユスはすごくモテる。ゴブリナたちが読む雑誌の『孕ませられたい男』ランキングではいつも一位だ。完璧に見えて実はどこか抜けてるから同性からも好かれる。

こんなにかっこいいのに、生きてるって知られたら「返せ」って言われるのは当たり前だったんだ。

でも返さない。

もう譲るのは嫌だ。なんで知らない奴にあげないといけないの?知ってる人にだってあげないのに?なんで?譲らないよ?おれだって幸せになりたい。他を押し退けても欲しい。「あの子の方が必要だから」?「この子の方が可哀想だから」?「優しい子なら、譲ってあげなさい」?バッカじゃない?だったらお前が先にどうにかしろよ。譲って与えて遠慮して我慢して。その挙句がおれみたいなクズの出来上がり。『強欲の魔王』?それのどこが悪い?欲しいものは奪って手に入れて縛り付けて根刮ぎ攫う。それの何が悪い。他人のモノになった『欲しかったもの』を目の前にして、指を咥えて「ああ、やっぱり欲しかった…」なんて二度とゴメンだ。


そのためなら、自分でさえ餌にする。


そう……思ったのに ーーー 。


「……アキ?ゆっくりしよう…?」

「…………っ…(グスッ)」


ユスが優しすぎて泣きそうになる。

おれのなかに半分入ってるユスのちんこは熱くて固くてドクンドクンしてるのに。痛いくらい張ってるのに。っていうか痛いだろうに。

自分のことじゃなくて、おれのことを思ってくれる。


「……うっ……ひっく…、ひっ…ぅ……、ユ…ユスぅ………」

「あー…よしよし。怖かったな?ごめんな?今日はもうしない。しないから。な?泣くな」

「……っ、ひっ………うー…、ゃあ…!するぅ…!」

「ああ、はいはい。んじゃあ休憩」

「………っ………、……ぬいちゃ、だめ………」

「えっ?えええ…えーと、ヌいてくるから、……抜かせて?」

「だめ」

「……ハイ…」


我ながら酷いこと言ってるのに、ユスはおれをギュッと抱きしめてくれる。

ユスの匂いだ…。

石鹸と、ユスの匂い。

ほら。違う。全然違う。ユスはおれを傷付けない。殴らないし、蹴らないし、無理矢理入れないし、裂けて血が出てるのに中に出したりしない。おれが泣いたら興奮して精液とかオシッコかけたりしないし、笑いながら虐めてこない。

大丈夫。ユスなら、大丈夫。


「ユス…キスしたい……」

「……ん…」


ユスの唇。ユスの匂い。大きなユスの手。

気持ちいい。

舌を絡め合って。混ざり合った唾液を飲み込んで。ヌルヌルしたユスの舌で、口の中いっぱい舐められて。

ゆっくり、ゆっくり。

ユスがおれの奥深くに入ってくるけど、キスに夢中で気付かない振りをする。

おれのお腹がぽっこりしちゃうほど大きなユスのアレが根元まで埋まる。


「……ほら、アキ………全部入った…」


ユスがおれの手を繋がった部分に当てる。


「…ん……すごい、ね……」



 ーーー …嬉しい。



お尻に入れられて嬉しいなんて初めてだ。

ユスは『ユス』になった時からおれのものだけど。







「ユス……おれ、…おれを、ね?ユスのに、……して…?」







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