【7人の魔王1】転生したら悪役令嬢の父だったらしい

シードルで酔っ払ったらしい

リンゴのジュレはアキのお気に入りになった。口寂しい時にティースプーンで掬ってそのまま口に入れる。甘すぎない？……ま、いいか。ふにゃあっと嬉しそうに笑ってるし。今度飴でも作ってやるべきか。

さてリンゴの果実酒。シードルは順調に酵母が仕事した。ポコポコと出る小さな泡を、アキはまるで手品でも見ているようにキラキラした目で見る。可愛い。可愛すぎる。アキは泡を観察していて、俺はそんなアキを愛でる。幸せだ。

泡がおさまってきた頃に、灰汁のような泡を取り除いて熱湯消毒したワイン瓶に入れてコルクをする。コルクが発酵で外れないように針金で固定する。発生するガスがリンゴの果実酒に溶け込むまで冷蔵庫で寝かせる。

夕食後のデザートと一緒に出したシードルを、アキはクンクン匂ってペロッと舐めた。


「………おいしい！あんまり甘くないけどシュワシュワする！」


発酵による炭酸ガス発生って偉大。

さて本日のデザートはナッツをギッシリ入れたブラウニー。薄く焼いて小さく切ってあるからさほど固さは気にならないだろう。シードルとの相性も当然良い。余談だがこの世界、何故かチョコはあった。石みたいに固い塊だけど。削るのに苦労した…。

はじめてのアルコールにはしゃいだアキは、見事に酔っ払った。ベロンベロンだ。おかしいな…自家醸造ってそんなにアルコール度数上がらないよな？異世界の酵母ってこんな感じなの？

今のアキの外見はまあ高校生くらいに見えないこともない。だがこう…あれだ。罪悪感がね？



にゃーにゃー言いながら俺に絡み始めたから、さっさとグラスを取り上げてベッドに運んだ。












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※現代日本は酒税法とかありますのでアルコール度数1%未満でお楽しみください。