上 下
33 / 70

嫉妬らしい

しおりを挟む


久しぶりの手作り餃子は、皮はもっちりカリッと、中は溢れる肉汁で我ながら良い出来だった。500個は作っただろう餃子はストックを作る余裕もないほど食い尽くされた。ええ~…アキの兄弟ってさあ、あの細い体のさらに細い腹のどこに入るんだよあの量が!アキもよく食べるなあとは思ってたけど。

夕飯の後は、泊まってでもいくのかと思ったがみんなそれぞれパートナーがいて、心配させないように帰るのだとか。ワンさんも「ではまた来るよ~」などと言いながら掻き消すように居なくなった。

俺は黒眼魔王 ーーー 椿くんの置いていったビールをちびちびやりながらお片付けだ。


「むー……ユスぅ…ビール美味しい?」


そしてアキがひっつき虫になっている。


「美味しい。久しぶりだしなあ」

「ふうん…」


アキは俺に背後から抱きついたままグリグリ頭を押し付けてくる。なんだなんだ…。なに拗ねてんだアキは……。


「どうしたアキ?」

「んんー?別にぃ?」


グリグリ。グリグリ。

可愛いなちくしょうwww


「クロと…仲良くしちゃってさ……シロがめっちゃ怒ってたんだからな…」


ん?クロ?シロ?……ああ。椿くんが『クロ』で、ずっとこっち睨んでたのが『シロ』か。


「クロに貰った、そーんな苦いの嬉しそうに飲んでさあ……ふーんだ…」


えっ…ちょ……まさか…!これが  嫉  妬  ってやつ!?ウワアアアアアア…!!


「アキ…」


洗い物も終わったし、背中からアキを剥がしてそのまま横抱きでソファーまで運ぶ。うん…アルコールが回ってるせいか、俺の行動が大胆になってるな…。

唇を尖らせながらぶつぶつと拗ねるアキが可愛すぎる。もー…アキの兄弟が来たのはアキがうっかりこの可愛い口を滑らせたせいじゃないか。


「……あのね…ビール、もう一回飲んだら美味しいかも?」

「ん?ああ…飲むか?」

「ん。」


缶に少しだけ残ったビールを振ると、アキが可愛く突き出した唇を指で指し示す。

んっ?えっ…えっ……えー…と………えええええ…


上目遣いのアキが可愛くて可愛くて可愛くて……(語彙力行方不明)


えっ…まじで?いいの?犯罪じゃない?お巡りさんこっちですとか言われない?

最後のビールを呷ってアキの唇を見ると、アキが悪戯っぽく笑った。ありがとうございますありがとうございます。俺の恋人は天使から小悪魔にジョブチェンジしました最高です。








もちろん後から「やっぱり苦い!」と怒られた。







しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

迷子の僕の異世界生活

クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。 通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。 その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。 冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。 神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。 2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

処理中です...