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カニバリズムは回避したらしい
しおりを挟む魔導コンロに鍋にフライパン。ザルにボウルに菜箸までその厨房にはあった。
「オイラの神聖な厨房に……」
爪どころか指先まで噛みちぎりながらブツブツ言っているのは料理長だろうか。首輪をされたままの俺を呪い殺さんばかりに睨めつける。怖い。はっきり言って怖い。
「オムレツ…でいいのか?」
「うん…」
モジモジしながら幹部の背後から覗き見る天使は非常に愛らしい。ぷにぷにほっぺに触りたい。頭を撫で回したい。おかしいな。俺はショタコンだったのか?まあ確かに大きな胸も尻も、コルセットで気持ち悪いほど締め上げた腹も興味がなかったけど…。
「ニンゲン、暁様が気にいる食べ物が作れれば奴隷からスタートさせてあげます」
幹部が慈母のように笑って酷いこと言ってる。
「ニンゲン如きの料理なぞ暁様のお口に合うはずがない!!」
うおっwいきなり叫ぶ料理長(推定)こっわ!!
えーと、まずは生き残りたい。切実に。何が何だかわかってないけど死にたくない。
ボウルに玉子を割り解し、牛乳(牛じゃないかも…)と塩を少々。出来上がった玉子液をザルで濾す。小さめのフライパンにバターを溶かして……
「天使ちゃん、玉子焼きは甘い派?」
「ふぇ!?て…天使!?………ん、えと、甘いの…好き……」
「OKOK。じゃあ甘くてとろっとしたやつなー」
砂糖追加。
玉子液を入れたら菜箸でぐるぐるかき回して、半熟になったらフライパンをトントントン……っと。
真っ白い皿の上に形成したオムレツを移して完成。
「ほい。プレーンオムレツおまちd……」
天使は既にスプーン握ってスタンバイしてた。マジか。
「え?味つけてないよな?」とか「あんな粗末なものを…」とか聞こえる。うわ…なんか自信無くなってきたんですけど!?
「ニンゲン。暁様が吐いたらその場で胴体とお別れさせますからね?」
こっわ!幹部こわ!!でもオムレツをクンクンにおう天使可愛い。
ぱくり。
「……………………」
あれ?リアクションは?天使ちゃんリアクションプリーズ!!
もぐもぐ咀嚼する天使可愛い。可愛いがこの世ともお別れかもしれん。くっ…!今度は天使ちゃんみたいな嫁が欲しいなあ…。
もぐもぐやってた天使ちゃんがポロポロ泣き出した。えっ…えっ……。やばい。周囲が殺気立ってるよ。
ーーー さよなら、人生。
「…おいしい……よぉ…!」
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