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食われるらしい(物理で)
しおりを挟む目が覚めると天使がいた。
ああ、ここが天国か……。
天使は俺と目が合うと、ピャッと跳び上がり逃げてしまった…。残念…。
「目が覚めましたねニンゲン」
おっと、今度は女神様だ。多少顔色は悪いが、まあ二度目の転生だ、こんなこともあるだろう。
「イチぃ……こいつ怖い…」
「大丈夫ですよ暁様。治療の前に縛ってますからね?噛み付けないですよ」
えー…???
………ここは…
「……どこ、だ…?」
薄暗い室内は洞窟のような岩肌が見える。しこたま打ちつけた体は、あれが夢だったかのように痛みもなかった。
「モールドレですよ、エネシアの貴族さん」
………あー。馬車の紋章か。あのクソ兄上、エネシア王家の馬車なんかに俺を乗せたのは、最後の温情とかそういうのじゃなくて……
「貴族じゃない。ただの生贄だよ」
「……ほう?」
青みがかった灰褐色の肌の女神は俺を蹴り転がした。結構痛い。いや、かなり痛い。ヤダ…目から汁が出ちゃう…。
「では売ろうと食おうと問題ないですね」
…………は?
「え…?えっ?食うの?えっwマジで?性的に、とかそういうんじゃなくて?」
「売れば性的に食い散らかされるでしょうね。ここで食料になるのなら美味しく食べてあげますよ」
「えっ…えっ?ちょ…!?」
「え~…、イチぃ……おれ、それ食べるのヤダ」
「わがまま言っちゃいけません。大きくなれませんよ」
「ええ~…人間って美味しくないもん……」
おいおいおいおい。本人の目の前でそういう相談はしないでくれ!
「では、とりあえず視ましょうかね。獲得スキルが重複したら勿体無いからですね」
キン…と女神の右目の前に小さな魔法陣が浮かぶ。《鑑定》か。それも高度の……。モールドレってことは、女神は女神じゃなくて魔王軍の幹部か何かか?おかしいな。モールドレの魔王はゴブリンの王と聞いたんだが……ああ、クッソ。魔力酔いだ。丸裸かよ。吐きそうだ。
「………《渡界転生者》?」
「………」
女神改め幹部と天使が俺をガン見した。ええ…俺のステータスそこまで丸裸!?
「……ふっ…くく……あっはは!素敵です!良い拾い物ですよ、暁様!」
「ええ~……」
「食べましょう」
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