【７人の魔王 終】白の恋と、黒の愛

妄想系腐女子メイドがやってきた

出産直後のアイリーンと子供に戻ってしまったロゼ。アヴァロンの女性はこの二人しかいない。母さんにも聞いてみたが「ニンゲンの子育てはわかんないねえ」とのこと。《ふるきものども》や《古代種》たちの出産や子育てはかなり特殊らしいから参考にならない。ヴァルハラ居残り組の女レイブンたちに「お世話できる？」って聞いたら真っ青になって「無理無理無理！！ニンゲンの子供は落としただけで死ぬんですよ！？」と首を振られた。超八方塞がりじゃねえか！？

そんな時、料理長が「うちの妻と娘を呼んではどうでしょうか？」と提案してきた。料理長の奥さんと娘さんはエーヴェルシュタイン領の領主館で働いているらしい。クリスの兄ちゃん ーーー エーヴェルシュタイン辺境伯に打診すると、すぐにこっちに働きに出してくれることになった。エーヴェルシュタイン辺境伯夫人(エルンストの姉)が「私が坊っちゃまの元に行きます！！」って息巻いていたらしいが夫人も妊娠中らしい。丁重にお断りした。

さて、アイリーンの産後をサポートしてくれる料理人とメイドさんゲット。他国のスパイだったり問題のある性格だったら困るなあと思っていたら、奥さんは旦那に負けず劣らず料理バカ。娘は ーーー クリスが好きすぎてたまらない腐女子だった…。う…うん、問題ないね。このまま定住してもらっても。

若くて可愛いメイドさんに湧き上がったのはむさ苦しい傭兵私兵の若い男たちだが、娘さんは「腐腐腐腐腐…」などとニチャリとした粘着質の笑みを浮かべて男たちを眺めている。それを見てるこっちは軽いホラーだ。妄想系か。

その妄想系メイド。幼女もストライクゾーンだったらしく、「ロゼ様♡お召し物を着替えましょう♡」とか「お風呂に入りましょう♡」とにじり寄ってくるらしい。軽くないホラーだ。ロゼは一国の女王までなった女性だからお世話をされることには慣れているそうだが、ハアハア言いながら服を脱がせていたところをルーカスに見られ、即刻接触禁止を申し渡された。そして「着替えやお風呂はルーカスに手伝ってもらうので結構です」というロゼの言葉を聞いて鼻血を噴いた。やばい。妄想系腐女子メイドやばい。それ以外は非常に優秀だからタチが悪い。


「魔王陛下ッ！！この国は楽園です！一生涯お仕えさせてくださいませ！！」







こんなに嬉しくない忠誠を誓う言葉があっただろうか。(いやない)