【７人の魔王 終】白の恋と、黒の愛

名前って大事

「ねえクロ？僕ねえ、クロを『椿』って呼びたいなあ」


きな臭くなってきたノルトラインの報告書を部屋で読んでいるとシロがなんか言い出した。


「んん？いいけど…」

「あのねえ、正宗くんも眷属のみんなも『椿様』っていうのに、僕だけ距離があるっていうかぁ」

「んんん？栢木も幼馴染のみんなも『クロ』だし、距離あるか？」

「そうじゃなくて、そっ、その…ね？」


赤くなってモジモジするシロは可愛い。意味不明だが。


「僕たち恋人期間短かったでしょ？僕ね、恋人同士みたいに名前で呼び合いたいなあって思うンデスケド」


なぜ最後カタコトなんだシロ？


あー、そっか。シロにとって俺と『恋人期間』っていうのはほんの2～3日くらいだし、俺に至ってはいつのまにか結婚みたいな感じだったしなあ。


「……凛…」

「……っ…！」


引き寄せて、額に口付ける。頬、瞼、唇。顔中にキスをして、深いキスをする。


「…んっ…ん、はふ……ん……」

「……ん…凛…可愛い……凛………」


舌を絡めて、お互いの唾液を飲み込んで。唇が離れた時にはシロ ーーー 凛の瞳はとろりと欲望に溶けていた。


「…ず、るいよ……つ、椿……」

「凛が可愛いのが悪い」

「ええ～…なに、それえ……」


笑い合いながらベッドで重なり合う。

一条の選んだローションとやらはヌルヌルで不思議と生温かくて、やたらと良い匂いがした。これが「一番良いやつ」かあ。おかげで凛を傷付けることもなかったし、めちゃくちゃ感じて快がってもっともっととねだられた。俺も実質男を抱くのは初めてだったけど、俺と凛の相性がいいのか凛が名器なのか俺が上手いのか、それとも愛なのか。「どう思う？」ってやった後のピロートークで聞くと「そんなの全部でしょ」って笑われた。


例によって凛はぶっ倒れた。3日ほど。






その間に俺はノルトラインの方を進めることにした。