【7人の魔王 終】白の恋と、黒の愛

とうや

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はじめましてご主人様! 3

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「はいは~い!私は陽咲様の眷属ですよー!」


豚耳の女が手を上げて立ち上がる。あれっ?こいつマトモだし可愛くないか?服も露出少ないし。


「私たちの種族は老白ヘンウェン。見ての通り陽咲様だけの雌豚です!」

「語弊!!」

「言い方ァ!?」

「豊穣と災厄を産む豚です!誠心誠意!一心不乱にお仕えします!よろしくお願いしまーっす!」


豊穣と……さ、災厄!?マトモじゃなかった…!


「私供は黒翼人レイヴンです。凛様にお仕え致します。このヴァルハラの管理も任されておりますので何なりとお申し付けください」

「………………」


『りん』というのは『シロ』のことだろう。自分の眷属も見ずに、濡れた着物を掻き抱いて震えていた。……ん?濡れた…?


「……まっ、待ってくれ!なあ、ちょっと……あー…『シロ』?お前……」


触れた肩は布地が凍っていた。ガタガタと震えて唇が真っ青だ。


「おい?大丈夫か!?」

「さ…さむい……」

「当たり前だ馬鹿!早く言えよ!?毛布!なんか包むもの…っ!いや待て、先にこの凍った着物脱がして…」

「おお、そうかそうか。寒さに弱いのか。流石に儂も考えが至らなんだ…」

「えっ…寒いのかい!?これが?」

「寒いよ!あんたたちおかしいよ!?」

「ちょっと!お風呂!お湯沸かして!シロが死んじゃう!!」

「クロ、俺のコートで包んどけ。無いよりマシだ」

「凍った着物脱がせて!僕のカーディガンもつかっ……うそ…!帯まで凍ってる!?」

「もう人間ヒトでは無いというのに…ひ弱過ぎねえかぁ?」

「わああああああ!りっ、凛様あ!!誰か!浴場に湯を張ってきなさい!!」

「はいっ!湯…は、ええと、みっ…水魔法と火魔法で……!えっ、え…あ、あのっ!温度はっ!?」

「バッカ野郎!人間の温度っつったら摂氏36度くれえだろ!?」

「温いだろそれじゃ!40度くらいだよ!」


ズルリ…と『シロ』が俺の方に凭れ掛かる。……冷たい…。


「おい…!『シロ』!『シロ』…!!」





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