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それより爺いは構ってほしい
しおりを挟む『移動』した先は真っ白な建物の中だった。ただただ白い。目が痛い。そして寒い。
「さっむ!」
「やめて僕夏服だよ!?」
「ちょおおお…!?」
「………っ」
「な…!?」
俺たちをぐるりと囲むように、大勢の人間が傅いていた。……いや、人間かどうかも怪しい。なぜなら彼らは全て異形の姿をしていた。
子供ほどの身長の髭面の筋骨隆々の中年たち。
見目麗しい高身長の黒い翼を持った男女たち。
豚のような耳と尻尾を生やした美女たち。
筋骨隆々のツノの生えた大鬼たち。
悪魔のような長い尻尾を持った少年少女たち。
下半身が魚のような水色の髪の美しい人魚たち。
尖った耳と、人間ではあり得ない灰褐色の肌を持つ美男美女たち。
「良い良い、面を上げ楽にせよ」
「「「「「「「はっ!」」」」」」」
皆一様に顔を上げて……
「……うっ…!?」
キラキラキラキラ~!
一心にこっちを見ていた。……なんだろう。異形に囲まれたっていうより、よく躾けられた人懐っこい犬の群れに放り込まれたような気分だ。
「えっ…ええ……」
「……なんかさあ…見せ物?パンダ?アイドル?……にでもなった気分…」
「怖い…期待の眼差し怖い…」
「そうさのぅ…なにから話そうかの」
死人のような男が何もない空間に寝転がる。
「はあ、しかし面倒じゃの…」
「こらあ!『儂』!お前が「自分が話す」って言ったんじゃん!?」
「話せば長いんじゃよ。それよりの?ようやっと会えた孫たちよ、この爺いに構っておくれ」
「その気持ち、わからないでもないがねえ…?でもねえ、ちゃんと言わないとこの子たちもわからないだろう?」
「いっそ《世界記録》の限定解除をしちゃあどうかい?」
「応、それが良い。倅たちは俺より賢そうだからな!」
何の話だ!?
「まあ、掻い摘んで言うとだの。お前たちは儂らの子供で孫で弟たちで、人間ではないのじゃよ」
「…………は…?」
はい???
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