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異常事態

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俺が『シロ』の手を引いて行くと、子供の頃に別れたきりの幼馴染達がいた。ハンカチらしきものにペットボトルの緑茶を垂らして顔の血糊を拭いている。


「僕ねえ、なんでかペットボトル握ったままだったんだよねえ。ほら、アキも。顔と手だけでも気分が変わるから」

「ん…」

「紫苑、お前さあ、よくハンカチなんか持ってたな」

「えっ、普通持ってるでしょ」

「持ってるね」

「マジかあ?女子かよお前ら!?」

「………」


あの頃と変わらない。でも……なんだ?千早と紫苑の顔色が悪い。


「……クロ…?」

「おう、千早。久しぶり」

「………あの、…な?ちょっと…俺、ミスったみてえでよ……耳、やっちまったみてえで……」

「……僕もねえ、顔がちょっと判別できないんだよねぇ…。ちょっと気持ち悪い、かなあ」

「……は?」

「………シロ?シロはどうしたの?」

「………見えてねえらしい」

「え…」

「……僕もね、さっきアキを落ち着かせるために歌でも…って思ったら……喉、おかしくて……貼りついたみたいになってね…」

「あー…

「え……見た感じ、ひーくんとクロは大丈夫じゃない…?」

「俺さあ、さっき緑茶一口貰ったんだけど、味が全くしねえんだ。……で、クロはシロのこと完全に忘れてるだろ?」

「え…」

「は…?え、マジ、で…?」

「ええ…?高校もクラス同じだったよね?僕たちは別だったけど」

「……覚えてねえ…シオンとアキは…3組、アオイは5組…だったよな?」

「あー…」

「こりゃあ紛れもない異常事態ッスわ…」

「…………」

「…あ、そうだ、スマホ……」


ポケットから出したスマホは、やっぱりアンテナは立ってない。メモ帳を起動して耳が聞こえないだろう千早に説明する。


「あー……そういう…」


千早は頭が痛い、とばかりに額に手を当てて天を仰いだ。


『これからどうする?』

「どうって…あー、ちょっと待て。作戦参謀はシロだろうが。俺に言ったってなあ…」

『俺はその『シロ』がわかんねえんだよ!』

「マジかあ…めんどくせえ」


全員が途方に暮れる。






「やあやあやあ!全員揃ってるねえ?我愛しの息子達ぃ!?」







???




は???誰!?
















******************************

※千早の発音は聞こえなくなったばかりなのでまだおかしくなっていません。ここからどんどん感覚がおかしくなってきます。



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