【7人の魔王シリーズ 番外】ルーカス・フェリエーラは妹を愛でるのに忙しい。

ルーカス・フェリエーラと聖女育成計画

宰相の糞息子にお仕置きをして、3人でほろ酔いで大公邸に帰るとクリセルダに怒られた。俺はアレクシス様を放ったらかして！という理由で。ヴィルヘルミーナは年頃の未婚の娘がこんな時間まで！と。ヴィルヘルリートは2人を悪い道に誘って！！と。うん、ヴィルヘルリートが一番可哀想。だってヴィルヘルミーナは俺が誘ったのにね？

その夜は拗ねたアレクシス様に朝までやりまくられ、起きたら2人が泣きながら屋敷中掃除してた…。こわい。クリセルダが怖い。逆らっちゃだめだ。


さて、攻略対象の2人までが片付いた。

騎士団長の糞息子は、バキバキに折れた指を最低限しか治療してもらえず、除籍のち放逐。当然退学。今は騎士団の奴れ…いや、下働きとして頑張ってる。男色ソッチの気けのあるマッチョたちに大人気らしいよ？整った顔はしてたしね？

宰相の糞息子は、落ちるとこまで堕ちてくれるかと思ったんだが、婚約している令嬢の新たな性癖の扉が開かれたらしい。スピード婿入りして2人とも学園を休学。今は子作りに励んでいる……と。なんか宰相からお礼を言われた。解せぬ。

季節は冬に差し掛かり、零番街発の流感インフルエンザもいい感じに封じ込めた。栄養のある食事に暖かい寝床。手洗いのために井戸も掘ってもらった。タダ飯はなんだか腹が立つから清掃奉仕活動とセットで。もっと力のあるやつは零番街再開発の日雇い工事夫に放り込む。当然ズルする奴も出るけど何もしないよりマシ。貴族たちの週一の持ち回りの炊き出しより全然マシ。俺もロゼマリアと一緒にパンを配るのを手伝った。『聖女ロゼマリア育成計画』だ。子供は配給品パンを奪われるだろうからその場で食べさせ、食べ終わったらご褒美の飴玉をあげる。大人は金かねだがついでに職業斡旋。これで全部が良くなるわけじゃない。でも少しでも変われたらいい。まったく…うちの妹は天使だというのに聖女の称号まで取ってしまうのか。

『聖女ロゼマリア様』は城下でもなかなかの人気で姿絵まで売られている。観光のお土産に大人気らしい。何故か俺が後ろに控えてるやつが良く売れる、と。俺単品で描かせてくれと言われたらしいが、アレクシス様が嫌がったからそっちは陛下が止めてくれた。そう、この姿絵プロジェクトは陛下主導なんだよ。陛下ってほんっっっっっっと策謀家だよね。あー、怖。

そんなロゼマリアに今更ながら学園の淑女科や紳士科の糞餓鬼どもが近付こうとしているらしいけど、そこは学園長に言って「理由なく他科の棟に入り込んではならない」と罰則を設けてもらった。糞王太子とクソビッチと糞取り巻きが経営科をウロウロして問題を起こし謹慎処分になってるからな。今気軽に棟を越えて経営科に来ていいのは『ロゼマリアの友人』として陛下が許可したトビアス・ホールズワースだけだ。良い男なんだ。顔は平凡だし座学も実技も大体真ん中。でもロゼマリアと非常に楽しそうにおしゃべりしてる。兄である俺より話が弾むんだ。まあ話題は何故か俺が何したとかいう話ばかりなんだが……。

糞王太子はロゼマリアへの贈り物攻撃で年間予算が尽きたのか、書類偽造で国庫に手をつけ始めた。いやいやいや、誰か止めてやれよ。もう陛下の手のひらでコロッコロ転がされてんじゃねえか。とりあえずロゼマリアがいらないと言ったセンスの欠片も感じない贈り物は陛下に返そうとしたんだけど、売却してロゼマリアの望むままに使って良いとのこと。あー、もう、転がされてるなあ。ロゼマリアが大金を手にしたらどうするかわかってるくせに。天使で聖女だぞ俺の妹は。


ということで、零番街近くに巨大な孤児院と職業訓練所が急ピッチで建設されている。工夫は当然零番街の住人で。まあ良いんだ。宝石とかドレスとかは俺やアレクシス様が買ってあげるから。あの糞が贈ったもので得た金貨とか虫唾が走るわ。