【7人の魔王シリーズ 番外】ルーカス・フェリエーラは妹を愛でるのに忙しい。

ルーカス・フェリエーラとこっそり授業参観

侍従や護衛は教室には入れないが、教室の隣に控え室がある。生徒には知らされていないが教室を監視……いや、見守る投影機もあった。だから何かあってもすぐに駆けつけられる、という寸法だ。これを寄付したのは昨年卒業した豪商の親らしい。金貨の山は最強だな。

ロゼマリアは自己紹介でロストアーテル姓は名乗らず、「ロゼマリアと呼んでください」と笑った。家は関係ないアピール成功。この学園の生徒なら、ロゼマリアが王太子に虐げられていたのは知っているし、王太子とその取り巻きが問題を起こしまくってこの1ヶ月で二度の謹慎を食らったのを知っている。耳の早い家はハーン侯爵家の騎士団長が騎士団を退団し、爵位返上の上資産を全て現金化したと掴んでいるだろう。

授業中のロゼマリアは真剣そのもの。まあ俺たちには前世知識のアドバンテージがあるが、授業内容は非常に高等。俺も勉強になる。紳士科、淑女科のおままごととは違うな。もっともあそこは人脈作りと言葉のボクシングを覚える場所だ。専門が違う。

最初はなにかと声をかけてきていた経営科の護衛たちも、俺が食い入るように投影スクリーンを見て生返事を繰り返すと次第に外に煙草を吸いに行ったり、カードゲームを始めたり。お前ら仕事しろ。あー、妹が可愛い。妹を見守る仕事とかご褒美だろずっとロゼマリアが卒業しなければ良い。


昼食の時間にロゼマリアの周りに生徒が集まっていたが、俺が迎えに行くと蜘蛛の子を散らしたようにいなくなった。なんだか目を潤ませたりして遠巻きにされているだけだから嫌われてはいないようだ。

ハムレットの用意してくれた弁当は、一口サイズの小さなサンドイッチだった。薄切りの牛肉に分厚い鶏肉、潰した芋、目玉焼きや萵苣ちしゃ、赤茄子トマトに胡瓜と中々豪華だ。


「ハムさんに言って作ってもらったの。わ、私が作ると……ほら、アレでしょ？」


ロゼマリア！お兄ちゃんはまだ彼氏を作るのは許しませんよ！！