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ルーカス・フェリエーラと妹の手料理
しおりを挟む屋敷の中は死屍累々だった。
厨房でロゼマリアを発見して、応接室のソファーに寝かせる。口元にハンカチを押し当てて、手で握らせてから屋敷中の窓を開けて回った。
そうこうしているうちになぜか大公邸に来ていたヴィルヘルミーナが復活。大規模浄化で臭いが消え去った。鍋は結界に封印。
ヴィルヘルミーナは大量殺人さえ犯してなかったら聖女にもなれた英雄だ。道徳のネジがぶっ壊れてるのは仕方ない。俺も終戦直前の1年間だけ第二八魔道遊撃大隊について回ったが、まともな精神ではいられないほど酷い有様だった。
鍋を見る。
火から下ろしているのに何故かゴポゴポと気泡が湧き出て、汁の色が紫と緑のまだらでギラギラしている。鍋の中から超小型の魔物の咆哮が聞こえるのは気のせいだと思いたい。
「ま…魔物を召喚!?…ううん、これは創造?すっごおい!やばいわロゼちゃん!」
ヴィルヘルミーナがケラケラ笑うが、冗談では済ませられない。
「……ぅ…うう…ル、ルーカス…」
「ロゼ!」
目が覚めたのだろう。よろよろしながらロゼマリアが厨房に入ってきた。顔色が悪い。
「ロゼ!まだ寝てなきゃ駄目だ」
「ううん、大丈夫……ご、ごめんなさいルーカス…えと、あと、おかえりなさい」
なんていい子なんだ!
「ロゼ?この鍋の物体は…?」
「え……えっと、その…ルーカスに、カレーを作りたかったの。お屋敷のキッチンに香辛料がいっぱいあったから…」
「俺のために?」
「うん…私、仕事もしてないし学校も行ってないから…脱ニート?みたいな?」
「ありがとうロゼ。でもロゼはそこにいてくれるだけで良いんだよ?なんなら一生ニートでもいいんだ。俺にずっと養わせて?ロゼがいてくれるだけで俺は頑張れる」
「ルーカス…!」
ぎゅっと抱きしめ合う。
カレー…カレーかあ。ちらりと鍋の謎物体を見る。
「ちょっと個性的な見た目だけど、せっかくロゼが作ってくれたんだし…」
「えっ、待ってルーくん!食べちゃだめだよ!?特級呪物級の危険物だからね!?オブジェクトクラスケテルだよ!?」
「ほ…ほら?あの、一口だけなら…ね?」
「やめろルーカス!俺を寡婦にするつもりか!?」
「この場合、嫁は俺だからアレクシス様は寡婦にはなりませんって(よそいよそい)」
「ルーカスちゃん?私もさすがにそれは人間が口にしちゃいけない物体だと思うの」
「妹の初めての手料理なんだ!ひと舐めくらいさせてくれ!!」
「やめてルーカス!それ動いてる!!」
どしゅ!ヒギャアアアアアアアア~ア~アアア~~!!
皿の中の咆哮する謎物体をスプーンで分断し、いざ実食!
カッ!と鍋が光ったと思ったら、爆発した。うん、言ってる俺もよくわからない。ヴィルヘルミーナが咄嗟に張った逆結界で事なきを得たけど。
「……幻の料理、か…(フッ)」
「「「「違うと思う!!」」」」
俺以外の多数決で、ロゼマリアの料理は今後一切禁止になった。残念だ。
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