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閑話:《迦陵》
しおりを挟む『お召し』というものが今のお父様のハーレムではあるらしい。
「良いですか《迦陵》。一に《久遠》で、二に《常盤》。でもそれだけじゃあ飽きるんです!毎日、脂ギトギトのフルコースじゃあ飽きるんですよ!」
「だから『お召し』なの。筋肉たちがポテトチップスなら、私たちはプッチンプリン!美味しいけれど薄味で手軽!刹那様の小腹を満たす存在なのよ!」
ははあ……よくわからない。
申し訳ないが、私は《ちいさきもの》の中にいた時の記憶がほとんどない。『マリベル』という実験動物になり、お父様のかけらを見つけて初めて意識が晴れた感じだ。だから地球世界の《ちいさきもの》の文化の話をされてもわからないので、とりあえず聞いておく。
「まずはこのお肉ですね…」
私の腕を揉みながら塑空が言う。やめてやめて揉まないで!
「や…痩せます!こ、こ、この脂肪はフィリップに嫌われるために作ったお肉です!元通り代謝を良くして食事を減らせば……」
「あっまーい!!」
「ひょえっ!!??」
「ダイエットを舐めてるの!?ただ痩せるんなら誰だってできるわ!!痩せながらインナーマッスルを鍛え、無駄な筋肉は付けずにスキンケアにも気を使い、皮膚が弛まないようにマッサージしながら、髪や爪だって潤いと油分を保たないとすぐにボロボロよ!?」
「え、え……ええええ……」
「適度な運動と脂質を減らしてタンパク質を増やした食事、質の良い睡眠、清潔を保つスキンケア!」
怖い!元《ちいさきもの》の痩身へのこだわりが怖い!!
「運動はわたくしが付き合います!ええ、大丈夫!!鍛錬すればすぐに主人様に付き従って戦場へも行けますよ!」
「む…無理!!無理です私、魔力ほとんど無いんですよ!?」
「心配しないで、魔力たっぷりの食事を私が作るわ。……ああ、丁度いい、『自称勇者』のお肉があるの。正義だの神だの嘯いたから、手足を捥いで舌を抜いたんだけど……ふふっ…そうね、あれなら赤身だし魔力たっぷりのお肉よ?せっかくだからお夕飯はバーベキューにしましょうか(にこにこ)」
「ヒィッ!?いいいいいいいらっ、いら、いらいら…いらない!!なんで!?どうして!?食べるなら本体で味なんかわからないようにパクッといけばいいじゃない!どうしてそんな気持ち悪いのお料理するの!?」
「だって、どうせなら美味しく食べたいじゃない?」
「怖い!元《ちいさきもの》の食へのこだわり怖い!!」
「義娘よ、好き嫌いはいけませんよ?」
「好き嫌いってレベルじゃない!!いやいやいやいやいや嫌嫌嫌嫌嫌嫌!虫とか蛞蝓食べる方がマシ!数倍マシ!!穢らわしい《ちいさきもの》なんか味わって食べたくない!!!」
「「魔力あるから、……ね?良い子だから食べましょうね?」」
「イヤアアアアアアアアアアアア!!」
………《ちいさきもの》のお肉…美味しかったです……(号泣)。
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