【異世界大量転生3】異世界とかよくわかんないけど、とりあえず好きに生きる。

とうや

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閑話:涼音03 *

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迂闊だった。

そうだ。《天地》とはいつも《桜座》を巡って啀み合っていたじゃないか。自由奔放な《桜座》を縛るのは《久遠》だけだ。

結婚?そんな《ちいさきもの》のルールなんか、ちょっと刹那が混じったくらいで《桜座》がきくわけ無かったじゃないか。結婚したからって、あの《天地》が遠慮なんかするわけ無いじゃないか。

ああ。いつだっては間違える。

きっと狡猾な《天地》のことだ。雄でも子を孕める魔術を仕込んで《桜座》に子種を強請ったのだろう。看守たちにも見せつけるようにして交尾して見せたのだろう。……糞…!!


「涼音?落ち着け涼音。すず……」


寝所に連れ込んで、噛み付くように唇を奪う。舌を絡めて魔力を送り込んでやると、強張った体が解けて吸い付いてきた。


「刹那、刹那……」

「…いっ……たたた…こら、噛むな噛むな」


組み敷いた刹那の服を剥ぎ取って、甘い肌に噛み跡をつける。こんなの……明日の朝には消えてしまうのに。

広い寝台の上には、刹那が抱えていた《久遠》も居る。


………っ!!知ったことか!


「刹那、僕……子供、欲しい……」

「んん?」

「産みたい、刹那の子供…。僕と、刹那の。子供欲しい」

「えー…」


さっきまで《天地》の中にあっただろう刹那のペニスをしゃぶる。刹那はくすぐったそうに笑って僕の髪を撫でた。


「あのな?『レスト』の体は精液出たって子供ができるかどうかもあやしいし、お前、男だろ?」

「……ん………んん…………ちゅっ…は、ぁ…………」

「オリジンとしての子は……んー、まあ、《久遠》に訊いてみないとわかんないけどさあ…。《唯一マザー》が居ねえこの世界って、多分無理じゃ………いって!痛え!噛むな!!歯を立てるの禁止!!」


引き剥がされた。

ちゅぽん…と吸い付いていた唇が音を立てる。

仕方ないなあ…と呆れたみたいに笑って、刹那が僕の唇を舐めた。


「泣くなよ涼音……あのさあ、《桜座》の愛してるのは《久遠》だけだけどさ?『刹那』の初恋は『涼音』なわけだよ?」

「……………は?」


え?


「泣くなよ……お前が泣くとさ、なんかもう……この辺が、ぎゅうってする…」


僕の手を取って、刹那が自分の心臓の上に僕の手を押し付ける。とくとくと。鼓動を打つ心臓こころ


「んー…もう……ほら、脚開け。食餌無しで種付けしてやっから」

「………………」






なんで僕、こんな酷い男が好きなんだろう……。












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