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11 食わせろ
しおりを挟む腹減ったぁ~…と思いながらも《久遠》から離れ難くて。スベスベボディを撫で回しながら腹の虫を鳴かせていたらおにぎりが出てきた。
「おにぎり!」
「おはよう刹那。お腹すいただろ?」
いかんダメ人間になるだがダメ人間最高!
おにぎりに手を伸ばすと、すっと手を取られて一緒に持ってきてた手桶で洗われた。しかも洗い終わったら拭いてもらった。え…なにこのダメ人間製造機。その間も俺の目はおにぎりに釘付けだ。俺の好きな俵型の、海苔が巻いてあるやつ!焼き海苔の匂いって日本人の8割が抗えないと俺は思ってる。玉子焼きとかも食べたい。出汁がきいてる甘いやつ。
いただきますして無言でガッつく。うん、うまーい!ジャポニカ米だあ!しょっぱくて甘くてモッチモチだあ!《久遠》にも食わせてやりたいけど、口どこだよお前。
「……ついてるよ」
蕩けそうな顔して涼音が俺の口元を指で拭う。
「ごめんね、もっと美味しいもの作ってあげたいんだけど、僕は料理はした事ないまま死んじゃったから…」
「ん?ああ、大丈夫大丈夫、すっげうまかった!異世界で米食えるとか思わなかったし」
「材料はあるんだけどね…どうも味付けが日本国と違うんだよね…。刹那のために開発したのになあ」
「米開発したの?マジで?」
「米も味噌も醤油も……でもね、なんだろうね?美味しくないんだよね?ご飯は上手に炊けるようになったけど…」
「あー、まあ……異世界だしなあ…」
俺は意地汚く指についた米粒を舐めとった。
さて、腹は膨れた。あとは……
涼音の腕を取り、引き寄せる。
「食わせろ、《常盤》」
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