12 / 49
08 やっと、会えた
しおりを挟む地下道に入った時から臭ってたのはこれかぁ…。
俺は階段の上に祀られてる腐った肉を遠い目で見た。
え?でもこれってなんの肉?人間にしちゃあ手も足も…っていうか、頭すらない気がするし、えーと……芋虫?汁だく巨大芋虫???
ああ、でも……なんだろう。
ただの肉だよ?それも結構黒ずんで所々緑っぽい腐ったやつ。なのに、なんか……
俺は肉に向かってふらふら歩いていた。無意識って怖いね?
触る。びちゃっと。ぬるっと。酷い臭いだ。でも……ああ、でも………
ーーー やっと、会えた。
「……お前、こんなとこにいたんだなぁ……《久遠》」
くおんって誰だ。この肉だ。どっから出た?その名前?どこから?どこだ?知ってた?どこで?
頭の中が混乱してるのに、感情は嬉しくて嬉しくて泣きそうだし、体はぐっちゃぐちゃの肉を抱きしめてるし。なんだこれ。さっき風呂入ったばっかなのにとか、借り物の着物汚れてるとか、ぐるぐるいろんなこと考えてるけど、……なんだこれ。離れがたいんだけど?
「探しても探しても…見つからないわけだ。こんな、とこに……」
もぞりと肉が動く。………生きてる。ああ、そうだよ、生きてる。
俺たちオリジンがこの程度で死ぬはずがない。
あたたかい…。
強烈な眠気を感じて、俺はあっさり睡魔に身を委ねた。
応援ありがとうございます!
13
お気に入りに追加
690
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる