上 下
4 / 49

閑話:瑞穂01

しおりを挟む


初めは気持ち悪い男だと思っていた。

整いすぎた顔。動かない表情。ロタリンギア王太子への異様な執着。生きているものの中に無機物の異物が混ざっている違和感。

兄上様はあれこそが主人あるじ様の器だと言ったが、わたくしは信じることが出来なかった。


けれど。


はなんだろう。

隷属の首輪が外れた瞬間、人形は人に……いや、それ以上のになった。

その気持ちが悪いほど整い過ぎた顔に『感情』という名の色が乗った瞬間。ああ、わたくしはその瞬間を目の当たりにしたのだ。



美しい男だった。



咲き誇る樹花のような。

兄上様は正しかった。

これが。

いいえ、この御方こそが、我らの主人様なのだ。



名を褒めてくださった。

辛うじて平静を装えた。

道をお尋ねくださった。

脳が焼き切れるような幸福感が襲った。

殺していいかとお訊きになった。




ええ!御存分にお召し上がれ!我が主人様!!








しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

偽りの愛の結婚

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,753pt お気に入り:361

あなたに愛や恋は求めません

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:95,304pt お気に入り:9,171

最後の再会

BL / 完結 24h.ポイント:1,235pt お気に入り:1

勘違い

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:969

【完結】お前なんていらない。と言われましたので

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,422pt お気に入り:5,627

逃がす気は更々ない

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,625pt お気に入り:1,624

平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話

BL / 完結 24h.ポイント:603pt お気に入り:2,478

処理中です...