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閑話:瑞穂01
しおりを挟む初めは気持ち悪い男だと思っていた。
整いすぎた顔。動かない表情。ロタリンギア王太子への異様な執着。生きているものの中に無機物の異物が混ざっている違和感。
兄上様はあれこそが主人様の器だと言ったが、わたくしは信じることが出来なかった。
けれど。
これはなんだろう。
隷属の首輪が外れた瞬間、人形は人に……いや、それ以上のなにかになった。
その気持ちが悪いほど整い過ぎた顔に『感情』という名の色が乗った瞬間。ああ、わたくしはその瞬間を目の当たりにしたのだ。
美しい男だった。
咲き誇る樹花のような。
兄上様は正しかった。
これが。
いいえ、この御方こそが、我らの主人様なのだ。
名を褒めてくださった。
辛うじて平静を装えた。
道をお尋ねくださった。
脳が焼き切れるような幸福感が襲った。
殺していいかとお訊きになった。
ええ!御存分にお召し上がれ!我が主人様!!
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