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02 殺していい?
しおりを挟む黒髪が可笑しそうに笑いながら扇を広げた。黒光りする鉄扇だ。女の子の持ち物じゃないね!
「良いでしょう!フィリップ様!婚約破棄、確と承ります!!破棄と言うからには、一方的なお申し出。わたくし、慰謝料を頂いて國に帰ろうと思います!!」
「…っ!」
あーらら?青いの、意外にケチ?でもそうだねー、お前、ピンクに貢いでたもんねー?
「わたくし、慰謝料にこの御方を頂いて帰りますわ!」
「えっ!?」
ビシィ!と鉄扇を向けられる。アッハッハ!怖い、怖いよ黒髪ちゃん!えっ、てなんだピンク。お前、一緒にの研究所で作られたってだけで、兄妹でもなけりゃ仲良くもなかったよな?
「おと…お、お兄さまはダメです!!」
「え?なんで?」
「「「「「「!!??」」」」」」
俺の発した言葉に黒髪ちゃん以外が息を呑んだ。え?なに?レストくん、君、なにしてたの?なんで俺の一挙一動に皆驚いてんだよ。
「ごめんなぁ?『レスト』、死んじゃったわ。大好きで大好きで大好きで大好きなフィリップ王太子殿下に捨てられて、今、死んだ。この体は俺が貰う。いらないんだろ?もう飽きたんだろ?じゃあくれよ。首輪外した奴隷なんて、ゴミクズ以下じゃん?」
「レスト!貴様…!?」
青いのが手を挙げると、護衛騎士と思しき鎧たちが俺と黒髪ちゃんを取り囲んだ。
「んんー…なあ、黒髪ちゃん?」
「瑞穂で御座います」
「ミズホちゃん?可愛い名前だね!」
「光栄に御座います」
……えー、もう、この子、なんでこんなに固いの?
「どこまで行けばゴール?」
「……学園の馬場に馬車を待たせております。この国の法では、他国の馬車は治外法権でありますれば……」
「わお!日本国とおんなじ法律?」
「多分、貴方様の仰る日本国の法律とほぼ同じで御座います」
「OKOK!…んじゃあさ?触っていい?」
「御心のままに」
「殺していい?」
「……!!!ええ!ええ、勿論で御座います!!」
やだこわい。この子なんでこんなに嬉しそうなの!?
俺は瑞穂と名乗った黒髪ちゃんを小脇に抱え、腰に履いた剣を抜いた。
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