側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや

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この国の子供でも知っているお伽噺ですよ?

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ケイレブのお父様方から頭の悪い要求をされてしまいました。わたくしたちの子供にこんなクソ…いえ、排泄物を会わせるわけありませんわ。


「……っ…」


お帰りください。そう言おうと唇を開こうとすると、いつのまにかセオドア様がいらしておりました。両脇に甜瓜メロンなお嬢さんと、小玉西瓜スイカなお嬢さんを侍らせて。


「ほう?ではお前は私の息子たちが不義の子だとでも言いたいのか?」


あら?口調はいつも通りお優しいのですが、もしかしてセオドア様、怒っていますか?


「私のような者からは『王の瞳』は生まれぬと?」

「そっ、そうではありません!そのような……ですが…」

「お前は本当にこの国の者か?」

「………は?」

「この国の者なら子供でも知っているだぞ?」

「なっ…!?」

「……エルーリヤ?」

「はい!殿下」


甜瓜ちゃんが挙手しました。あら可愛らしい。セオドア様の侍らせる女性はどこか子供っぽくてとても可愛らしい女性が多いのですよね。


「勇者のお伽噺を知っているな?」

「はい!青の勇者様がかっこよくてかっこよくて!私、何度も乳母にねだって読んでいただきました!」

「わ…わたくしは赤の勇者様が好きです!とっても可愛いんです!」

「そうか、エミーリヤ。では2人とも、そこの愚か者に勇者のを教えてやってくれ」

「「はい!」」


あらまあ、息がぴったりですわ。姉妹か何かでしょうか。


「青の勇者は黒い髪!キラキラ輝く夏空の瞳!」

「赤の勇者は黒い髪!キラキラ輝く夕焼けの瞳!」

「……………っ!」

「……ということだ、シェパード公爵


そう。異世界から来たとされる双子の勇者はどちらも黒髪だったと言われています。要するに思い込みですね。ケイレブが傍に居る=ケイレブと浮気、だと。まあ当たらずも遠からずなのですが。


「私の側妃が産んだ『勇者の再来』とまで言われる私の息子たちが不義の子?お前の孫?なんという侮辱か!恥を知れ!」

「……っ、そ、そんな……!ケ、ケイレブ!私はその…少し勘違いを……そうだな、ケイレブ!?」

「………シェパード公爵


無言を貫いていたケイレブが溜息を吐きました。


「いいや、アルバーン侯爵家ザカリー、たった今から『シェパード』として貴公の代理としての任を解く」

「…は……?な…お、おまえ、なに、を……?」

「先代シェパード女公爵との婚姻は終了している。現に貴公は17年前に再婚している。はセオドア王太子殿下の了承を得てたった今から『シェパード』を名乗ろう。………殿下?」

「ああ、許すよ?私と側妃とお前を侮辱した者を、もはや代理といえど公爵を名乗らせるわけにはいかない」


ケイレブ……ケイレブも怒っていますわ…。


「アルバーン侯爵家ザカリー、本日中にを全てシェパード公爵邸から撤去せよ。日付が変わると同時に貴公の私物は全て処分する」

「ケ…ケイレブ?待て、待ってくれ!撤去?処分?なにを言ってるんだ!?私はお前の父親だぞ!?」

「後日、除籍の書類をアルバーン侯爵家に届けさせよう。確実に署名し、使者に持たせること」

「ケイレブ!!お前、父親に対してなにを言っているんだ!!私は父親だぞ!?お前の母の、ファニシアの夫だぞ!?例えお前が公爵を継いでも……」

「お前とファニシア前女公爵との婚姻は終了している。そしての父親はもういない。お前は17年前にザカリー・シェパードではなく、ザカリー・アルバーンに戻って当主のいなくなった公爵邸に自分の愛人を住まわせた。殴られ、蹴られ、燃やされて。助けを求めた俺を面倒臭そうに捨てたのはアンタだよ、ザカリー?」




あらあら、まあ……因果応報ですわね。わたくしが怒る隙がございませんでしたわ。





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